えむ

イーダのえむのレビュー・感想・評価

イーダ(2013年製作の映画)
3.6
一貫してモノクロ映像で撮られた映画。

ストーリーはシンプルで、孤児として修道院で育ったイーダが叔母の存在を知り、でも引き取ってはと貰えなくて、正式に修道女になる前に叔母を訪ねて、共に自分の出自と過去を知る小さな旅をする。

修道院から旅まで、セリフも少なく、淡々とモノクロの静かな世界の中で最低限のことが語られるので、観ている側に想像させる余地が多い。

最近の映画は説明しすぎと言うけれど、この映画は丁度その対極にあるようだ。

でもユダヤの暗い歴史が語られる物語には、この色のない世界や静けさ、そこはかとなく漂う荒れた空気がマッチする。

修道院の世界しか知らないイーダと俗世に染まっている叔母が対照的。

最後の1人歩くイーダの姿も、一夜の俗世に別れを告げて修道院に向かっているのか、それとも俗世を知ってさらにまた1歩先に進もうとしているのか、どちらとも取れる気がする。

修道院に戻るなら、なんだか俗世のシーンが生き急いでいるようにも見えて切ないな…
えむ

えむ