イーダの作品情報・感想・評価

イーダ2013年製作の映画)

IDA - FORMERLY SISTER OF MERCY

上映日:2014年08月02日

製作国:

上映時間:80分

ジャンル:

3.9

「イーダ」に投稿された感想・評価

最近、ポーランド映画をたくさん見たおかげでポーランドの歴史を理解していたので、この物語の歴史的背景も理解できた。
美しいモノクロのFIX映像と、必要最小限のセリフで物語が語られるのが大好き。
いい映画でした。
[知らない過去、忘れたい過去、忘れられない過去] 99点(OoC)

パヴリコフスキは好きかもしれん。ポーランド映画祭で来る前から存在は認知していたが、アカデミー外国語映画賞を受けるほどとは思わなかった。そんな大事になれば非線形天邪鬼として見る気がなくなるわけで放置していたのだが、新作「コールド・ウォー」を見る機会を得たので先に見ておくことになったという次第である。

戦後すぐに修道院に預けられたイーダと検事として歴史の表舞台に立ち続ける叔母ヴァンダ。キリスト教に対する受容的な態度と否定的な態度、前世紀的な修道服と現代的な服装、知らない過去と忘れられない過去。様々な対立に揉まれたイーダはその両親の行方を巡る旅によって無垢さを失ってゆく。ヴァンダの自殺によってイーダは酒とタバコを手に現代的な衣装に着替え夜の街へ繰り出す。

話自体は大したことないんだが、ショットの構成や音楽は死ぬほどキマっている。お開きになったパーティのショットは泣いたし、自殺シーンの画面の静謐さは特筆に値する。静と動の扱い方も上手く、尺の短さも丁度よく、全くもって無駄がない。最近は無駄だらけ且つ拘りのない映画をよく見るので"無駄がない"ことの素晴らしさに、拘りが美学を感じる映像として美しく響いていることに、私は感動している。最後裸足で背伸びしてダンスする姿は、イーダの姿をそのまま投影していて普通に泣いた。

兵役から逃げるアルトサックス演奏者の青年と一夜限りの関係を結んだ後、イーダは修道服に着替えて部屋を後にする。どこに帰っているかも分からずに、自分が何者であるかも証明できずに。キリスト教は彼女に何も与えてはくれないだろう。それはユダヤ教も同様である。ユダヤ人殺害の歴史は当事者がいなくなることで次第に忘れ去られ、後には何も残らない。
寂寞とした冬景色とイーダの出自を辿る旅が一貫してフィックスのカメラで捉えられ、その構図ひとつひとつが卓越している。空間の取り方がたいへん個性的。そしてラストだけは移動カメラ。その静謐な映像は何か神話の世界を見ているような神々しさを感じた。
修道服を脱いでドレスを纏った彼女の匂いたつような美しさは、モノクロ映像が一瞬色付いたかと思うほど。修道服ひいては制服というものはこれほど女性の色香を封じこめるものなのだと、改めて思った。モーツァルト、バッハ等の劇伴もよいがジャズの演奏シーンだけが唐突でその異質さが本作のひとつの核となっている。





⑴タイトルに込められた意味

戦前には明らかにユダヤ人とわかるファーストネームというものがあった。女性ならばこのイーダ、ドラ、エステラ、男性ならばダニエル、ダヴィド、ヤクプ等々。つまりこのタイトルは、ユダヤ人の映画だと少なくともポーランド人にはピンとくる。
(現代では響きの良さから敢えてユダヤ風の命名をするポーランド人もいて、名前だけで判断することが難しい。それによって人種的偏見がないと暗に宣言するという側面もあるらしい)



⑵ポーランドにおけるカトリック教会

スターリン時代にカリトック教会は弾圧されていたが、雪解けの時代に入ると両権威は両立し、その後教会は容認される。
『イーダ』の冒頭、しまわれていた古いキリスト像が尼僧たちによって清められ、改めて外に建てられるシーンがあるが、これは雪解けの時代であることを示している(1962年のポーランドが舞台)。


⑴⑵久山宏一氏の講義より
Ichiro

Ichiroの感想・評価

4.3
静謐なモノクロ映像が美しい。重いテーマを扱いつつもユーモラスさを失っていないところが良い。音楽の使い方といい、カウリスマキの影響を感じた。新作が出るらしいから楽しみ。
meg

megの感想・評価

3.0
ポーランド映画鑑賞は『カティンの森』以来、人生で2作目。しかも2作とも戦争を背景にした作品である。ポーランドの歴史に明るい方ではないが、戦時中のポーランドの悲しみが作品全体から滲んでいるように感じる。そんな中イーダが少女から大人の女性へと成長する姿をロードムービーのように描く。人物を隅に配置し、上半分の余白に常に神の存在を意識させながら。一時は髪をほどき、神からも解き放たれようとするものの……。カメラが移動し始める瞬間はお見逃しなく。う~ん、しかし難しい(笑)。
海檸

海檸の感想・評価

3.0
静かに言葉少なく物語が進むが、展開から目が離せない。色が無くとも少女の美しさが際立っている。人間模様も注目です。
sri

sriの感想・評価

4.3
唐突に思い出した
静謐の映像化。綺麗な画を眺める感覚。
黒色が綺麗。デジタルだからか白黒なのに古くない。
深海魚

深海魚の感想・評価

3.5
夏休みポーランド映画祭にて鑑賞。

モノクロでBGMもなく、セリフも最低限で、静謐で淡々と進んでいく映像だったがどこか美しく目が離せなかった。

叔母が窓から飛び降りるシーンが衝撃だった。
写真展を歩いているような絵作り
頑なに定点で撮るのは芸術としてのこだわりか或いは人手不足か
煙草の煙が綺麗な映画
空衣

空衣の感想・評価

3.7
柔らかい彫刻のような尼
空虚でいて訴えかける眼がずっと後に残る
モノクロで口数も少ない、その冷淡さこそ語ってくる
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