ひろぽん

フルートベール駅でのひろぽんのレビュー・感想・評価

フルートベール駅で(2013年製作の映画)
3.9
2009年の元旦に実際に起きたオスカー・グラント射殺事件の実話を元にした物語。

新年を迎え歓喜に沸く人々で溢れるサンフランシスコのフルートベール駅のホームで、丸腰だった22歳の黒人青年・オスカーが警官に銃で撃たれ死亡した。彼が事件に巻き込まれる前の人生最後の日を描いた物語。


フルートベール駅で悲惨な現場を目撃した人が携帯電話で実際に撮影した映像から始まる衝撃的な冒頭。

結末を見せてから事件前のオスカーの何気ないありふれた日常の最後の日を淡々と描いていく。

母の誕生日を祝い、娘と遊び、家族や友人と楽しく過ごしたいつもの日常だったはずなのに…
悲劇の一日となる。

怠慢で職場はクビになり、売人としても足を洗って更生しようとしていた矢先に起きた事件。オスカーは悪いことをしていた過去はあるものの、犬を助けたり娘と遊ぶなど育児にも熱心で根はとても優しい人間だった。

フルートベール駅で起こってしまった事件でも特に悪いことをしていた訳ではなく、白人に喧嘩をふっかけられても高圧的な白人警官にも冷静な対応をしていただけだったのに。

職務を全うしようとしていた警察官の興奮状態も絶妙なバランスで描かれていてよかった。


人種差別は無くならないんだろうな。特にアメリカでは。理不尽極まりないし、観ていて腹が立つ。何よりこの事件で発砲した警察官が過失致死で2年の実刑で11ヶ月で出所しているという事実は腑に落ちない。

人種差別はいけないと言うけれど、自分も意識してないところでしているのかもしれない。

誰かが生きたくても生きれなかった明日を必死に生きようと思える作品。
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