結湖

太秦ライムライトの結湖のレビュー・感想・評価

太秦ライムライト(2013年製作の映画)
3.2
5万回切られた男、福本清三のドキュメンタリーとも取れる映画。
そのひたむきさと背景をある程度は知っていました。
それゆえに何でもないシーンも油断するとほろっと泣いてしまいかねませんでした。あぶない!(まぁ、最後まで見たら泣いちゃったけどね)
むしろ、彼の人となりを情報に入れていないと、楽しめないと思います。
『イン・ザ・ヒーロー』と話の筋はほぼ同じなのですが、香美山(福本清三)は寡黙で背中で語るタイプの男なのが、とても素敵。
内容自体はそんな目新しいものではない、普遍的なルーキーとロートルの物語なのですが、とにかく映像がとてもいい。
古き良き時代劇を思わせる、陰影の強いカッコイイショットが多くありました。
時折、モノクロのように影だけになるショットがあったりするんですが、それだけで充分絵になる福本さん。
そして、今でも見事な剣さばきはさすが。
とっても細身な福本さんですが、歳に見合わないほどのしっかりした腕の筋肉を見るだけで、その人生を感じることができます。
きっと、今でも鍛錬されてるんじゃないかなぁ。
ラストシーンは異名に恥じない見事な演技でした。

で、この映画の後、母がレンタルした『冬の華』(主演:高倉健)を一緒にみてたんですが、若き頃の福本さんが名だたる俳優さんの中に混じって出演されていました。(切られ役じゃないけどね、ヤクザモノだから)
それから36年後に主演映画ですよ!本当に凄いことですよね!
それだけでも胸が熱くなります。
2015/03/21:DVD
結湖

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