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やさしい本泥棒のfonske0114のレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
4.5
舞台は第二次世界大戦下のナチスドイツ。
養女として育つ中ユダヤ人拘束、戦争勃発、徴兵など少女目線でその渦中の一般市民を描くヒューマンドラマ。

ドキュメンタリー映画のように坦々としつつも次々と起こる事件に感情を揺さぶられ、続きが気になっていった。

以下ネタバレ感想を。


TSUTAYAでジャケ借り。
タイトルとジャケットから少女と本を巡るストーリーかと思いきやナチス政権下の街に暮らす弟を亡くした少女という重い場面で始まる。

学校に馴染めない、いじめ、恋心といった普通の少女という設定に加えユダヤ人や戦争という設定が加わりスリリングかつシリアスな映画になっていた。

少女が養女として育つ家に対する不安
学校に馴染めるかという不安
ユダヤ人をかくまう不安
徴兵、戦争の不安
と一つ不安がなくなればまたやってくる流れであまり気が休まらない。
その分平和なシーンに心が打たれる。

言葉を学ぶ、本が読めるという喜びに加え水晶の夜など歴史的背景もあったり感情が揺れ動く幅がすごく広かった。

人の価値は約束を守れるかどうか
というナチス配下の歴史的背景を感じさせる台詞に
君の目が語るとしたら
という言葉に彩りを与える台詞など台詞も美しかった。
タイトルのやさしい本泥棒とは読んであげるためか!とも思った。

登場人物もまるで本物かのようで、特に子役二人は本当に成長しているかのようで子供っぽさから大人っぽさまで感じた。

勿体ないと思ったのはナレーションとして入る死神は必要なのかという疑問。
タイトルの本泥棒、共作とはいえドイツが舞台なのに英語というのが惜しかった。
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