Oto

インサイド・ヘッドのOtoのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
3.7
発想で勝ってる。これもお得意の擬人化だけど、あえて抽象的なものを具体的に表現することに成功してて凄い。
基本設定はもちろん、抽象空間、思考列車、空想ワールド、夢スタジオ、地下の潜在意識とか細かいアイデアも良く思いつくなーって感心する。ロケットやカナダのイケメンの使い方とか、感動ポイント(ビンボンの自己犠牲)も良い。

ただ引っかかるところも少し。これは自分が根暗でひねくれるからなのかもだけど、Sadnessの扱いに対して初めからかなり違和感あった。ほとんどの時間がJoyのみの肯定なので、ピークであるSadnessの活躍の時点では、思った通りの展開じゃん!悲しみの大切さに気づくの遅いよ!って少し苛々してた。他の3つの感情(怒り不安恐怖)も、人間固有の喜び悲しみほど高度な感情じゃないにしても少しは活躍してくれないと、辛い時間が長く感じた。
現実のライリーの世界を観てもちょっと飛躍が多くて非現実的。監督の娘さんの実経験が元らしいけども、悲しみが共感とか再起のために必要で抑圧しすぎるとむしろ危険だって意識は元々持っているし(心理学を真面目に勉強した弊害?)。

でも最終的に上手くまとまってるし、家族や友情の賛歌としては刺さるものがあった。あるある〜っていう楽しさも多いけど、忘れてしまった大切なことを思い出して自分に重ねるって意味ではトイストーリー3とかなり似てる。子供が観ても多様性の受容というテーマ性があるとか、エンドロールも含めて多様性の肯定になっているみたいな上手さもあるのか。恋愛とか死とかいくらでもあるし続編作りやすそう。
Oto

Oto