シャトニーニ

007 スペクターのシャトニーニのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.8
シリーズ24作!MI6解散の危機!任を解かれたボンドに届く一枚の写真と、ミスターホワイトの語る壮絶な真実、それは彼が忘れていた過去、すべてにつきまとう影との対峙だった。
『カジノ・ロワイヤル』から『スカイフォール』を経て、運命の螺旋が今、絡みつく....

ボンド映画祭りも終わりが見えてきました。
今度の007は前作スカイフォールのように梯子をハズした作品でなく、時系列的にその直後から王道ボンドに戻った模様。ボンドの脂も乗り熟年期に入ったようでいつものアクションアドベンチャー映画になっています。今がいちばん働き時なんじゃ!

序盤メキシコでの激しいアクションからの操縦士ごと巻き込んだヘリコプターでの格闘、スイスでおなじみスキーアクション、と見せかけてプロペラ機で滑る(!)など、クレイグならではのビーストぶりが味わえます。どうしてそうなった!


タイトルの通り、今作のキーワードはスペクター。シリーズを見ていた007ファンはご存知であろう、あの敵組織スペクターです。おなじみの、あのハゲのおっさんの老舗敵組織ですよ(下町の名物店みたいに言うな)
その存在は1作目の黒幕だったミスターホワイトも真っ青な模様。
ブロやん(ブロフェルド)がパワー系ボンドことロジャー・ムーアに「登場の間もなくぽーんと煙突に落とされて」瞬殺されてから30余年、すっかり忘れてましたけど(失礼)、こいつら21世紀にいつのまにか強制アップデートしてやがる。しかもクレイグボンドの今までの陰謀はみんなこいつらに関係してるっていう、悪業の極み。陰でこそこそやってた陰キャ組織なのでした。


タコがうにょうにょするオープニングかっこいいな!曲調もロックだった『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』と壮大なバラードだった『スカイフォール』とくらべればサム・スミスの歌う主題歌も暗くしっとりしていて、英国らしくミステリアスでした。
どうでもいいけどクレイグボンド第二弾「〜慰めの報酬」は関係なかったのか、そのヴィランのグリーン(マチュー・アマルリック)さんがOPでハブられてたのは少し笑いました。無かったことにしなくても。。。

そうそうスペクターのロゴもタコ、実は「〜サンダーボール」から使われてる意匠。欧米ではその怪異な姿と宗教観からタコは海の悪魔とも恐れられています、クラーケンみたいな魔物は海の戦士(=ボンド中佐)の宿敵!て感じかな。ちゅーちゅーたこかいな、さてはボンドたちもタコ焼き食ったことないんかな
それでもボンド太郎侍はスペクターを成敗してくれるんでしょうね、
「ひとつ!ヴェスパー・リンドの生き血を啜り
ふたつ!シルヴァの悪行三昧
ミッツ!マケルセン(ル・シッフル役)は
なんか退治されてた、ボンド太郎侍参上!」といった具合ですかね(時代劇まぜるな)

タコつながりでオクトパシー。。。をほうふつとさせるルチア役にモニカ・ベルッチというマダムを起用したのもオマージュなのかもしれない。おいボンド、ついにモニカ・ベルッチまで抱くとは!
加齢臭ただようボンド映画に戻ると思いきや、新たなボンドガールにはレア・セドゥ。物語に関わりまくり、謎のヒロインです。可愛らしいルックスに、ツンとした態度をボンドにぶつけてきます。いきなり出会っていきなり逃げろと言われてもねぇ。。。

新生Mにはレイフ・ファインズ。前作を見てもらえばわかってると思っていますが、初めてボンド映画内でMが交代し、組織全体が危機となる逆境で、中々の指揮を見せてくれます。もともとブロスナンまで男性が演じてましたし違和感ないですけど、部下のタナーといい、頭が薄い英国紳士揃えてきたな。ボンドもハゲないか心配になる

ブロフェルド演ずるはクリストフ・ヴァルツ。俳優として『イングロリアス・バスターズ』『ビッグ・アイズ』などのうさんくさい外人役(英米側視点)がなぜか多く、オスカーも受賞しておりますから、国籍不明で知的な悪役ブロフェルドにピッタリ。クドい台詞もかなりペラペラ喋ってますし、手強そう。
ちょい前でいうマルコヴィッチ的な感じしますね。

ウィショー演じるQやマネーペニーも相変わらずいて、Qなんか現場まで出張って危険です。全国のQファンのお姉さん方は必見!

兎にも角にも、ダニエル・クレイグの007は全てつながっているので、これは特別なボンド・サーガといっていいでしょう。
ラストの贈り物2つ、ボンド映画らしくてにっこりしちゃいましたね




そして次回、

クレイグボンド、完結(!?)