とにかく何もかもが蛇足。この映画自体が蛇足。よりにもよってあの最高なスカイフォールの物語に後出しを仕掛けるわ、大した必然性もなくロマンス展開に持ち込むわで、何ひとつ良いところがない。このシリーズのヒロインはヴェスパーだけなのに……と、カジノロワイヤル原理主義者としても憤懣やる方ない。いや、レア・セドゥは素敵なんだけど、だからこそ勿体ない。もちろんモニカ・ベルッチも勿体ない。00Qのやり取りも、前作までの緊張感がなくなっていて全く精彩を欠いた。
ダニクレボンドは自分の稼業が全然好きそうじゃないというか、仕事だから仕方なくやってる感を隠さない（でもプロフェッショナルとして最善を尽くしている）ところが真っ当で好きなのだけど、今作ではそういう厭世的な態度があまり見えなくて、普通に生き生きとスパイをやってるように見えたので、そこも嫌いである。
