わたがし

ヒックとドラゴン 聖地への冒険のわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
 なんて美しい話なんだろう。美しさに積み重ねあげられていく更なる美しさ、その美しさを実体化させるキャラの顔面の産毛まで描くテクノロジーと演出のリアリズム。最終章ってことで作ってる側も感極まって異常な密度でエピソードとエモーションを詰め込もうとしてる感じが1本の映画としての完成度をさげてる気がしなくもないけど、それぐらいの気迫でこられるからこそこちらも「ありがとう!!」という気持ちで思いっきり泣ける。三部作まとめて「本当になんて美しい話なんだ」以外の感情が湧いてこない
 大切な何かを得るたびに大切な何かを失い、そうやって大切な何かを失うことで更に大切な気付きが得られるという、人生その繰り返しなんすよね。そしてその大切な何かというのは友達でも恋人でもペットでも何でもいいんだけど、対象を「大切にする」ために必要に迫られるコミュニケーションという行為、結局このシリーズの根っこはこれに尽きると思う。すごい漠然とした話しかしてなくてバカみたいな感想だけど
 コミュニケーションに関する映画だと考えた時の「How to Train Your Dragon」ってタイトルの危うさ、でも人を人たらしめるためには絶対に必要な価値観で、だからこそ葛藤があり克服がありドラマがあるっていう。しかも今回はそのドラマを何種類も並行して(でもダイジェストになることもなく)描いているという神業
 誰が善で誰が悪なんてことはないし、誰もが瞬間的に英雄になれるし誰もが邪悪なミスを犯してしまう、みたいな「メガマインド」的なことまで隙間に感じられるし、そういったあらゆるテーマとドラマが全部ひとつひとつ丁寧に紡ぎだされ、それが丁寧に編み込まれ、全部の毛糸をフルで余りなく使い切って作った最高にもっふもふのマフラーみたいじゃないですか??一生首に巻いてられるね、もう冬なんか怖くない
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