饂飩粉

猿の惑星:新世紀(ライジング)の饂飩粉のレビュー・感想・評価

3.9
 まずシーザーその他の猿たちのセリフの聞き取りやすさにウットリ。あの言い方は思わず真似したくなる。

 さて物語は前作から10年後。
 平和に暮らしていた猿たちは、絶滅したと思っていた人類の生き残りに遭遇。リーダーであるシーザーは人間との和平を求めるが、側近のコバは実験動物だった頃の恨みを根強く抱いている。

 一方の人類側も猿たちを恐れるあまり戦いに走ろうとする者や、主人公(完全に脇役の顔してる)のようにシーザーと同じ思いを抱く者がいる。

 人類と猿、と単純に二分化することができないキャラクター達それぞれの思惑が絡み合う重厚なドラマを堪能できる。
 そして、その末に起こってしまう「ウォー、ハズ、ビガン」なアクションシーンも迫力満点。馬に跨った猿が両手にアサルトライフルを抱えて雄叫びを上げながら突っ込んでいく!
 前作で泣ける漢気を発揮したゴリラ一派は、画面の隅でいぶし銀の活躍を見せる。傷ついた猿たちを抱えて物陰に逃げ込んだり、火のついたドラム缶を爆弾代わりにブン投げたり……。

 予告の時点で「ああこれはどうやっても共存とか無理ゲーだな」ってのはわかっていたのだが、そこに至るまでの過程が丁寧に且つドラマティックに描かれているので、ある程度話の流れを知っていても十二分に楽しめる。そもそも映画はラストだけが重要なわけではないし。
「猿と人類がいろいろあった末にやっぱり決別する」物語の、「いろいろあった」部分を観て楽しむ映画である。
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