ひろぽん

ゴーン・ガールのひろぽんのレビュー・感想・評価

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
3.7
結婚5周年の記念日の日に、幸せな結婚生活を送っていたニックとエイミーの夫婦の日常が、エイミーの失踪により破綻する。リビングには争った後があり、キッチンからは大量のエイミーの血痕が発見される。警察は他殺と失踪の両方の可能性を探るが、徐々にアリバイが不自然な夫ニックへと疑いの目が向けられていく。この事件によりミズーリ州の田舎町に全米の注目が集まり、暴走するメディアによって夫婦の隠れた素性が暴かれ、事件は思いもよらない方向へと向かっていくサスペンス・スリラー。


サスペンス系の作品が観たくて、検索してみるとどのサイトでも必ず名前が載っている本作。

スコット・ピーターソン事件がモデルになっているとの事。

何の前情報も入れずに観ると物語が二転三転としていき、展開が全く読めず面白くて引き込まれていく。

周囲が羨むほど何気ない日常を送っていたおしどり夫婦がある日突然姿を消すところから始まる。

前半は失跡した妻の事件を中心に夫のニック視点で妻に対する想いや不満などが夫目線で描かれ、後半は妻のエミリー視点に切り替わり彼女の日記を中心に夫に対する想いが妻目線で描かれ、前半と後半で作品の印象がガラッと変わる構成になっている。

散りばめられた伏線が回収され飽きずに楽しめる。真実をラストに持っていかずに中盤で明かされるというのも斬新だった。その分ラストに衝撃はなかったが、決して気分のいい終わり方ではなかった。

話が進むにつれ明かされていくおしどり夫婦の実態が笑えないほど酷い…

リストラから不倫とどんどん地に落ちていくニックには悪い印象しかないし、完璧な夫を求める高学歴で頭のキレるエミリーの狂気的な行動にはゾッとする。

クズな夫とサイコパスな妻による狂気じみた地獄の結婚生活と表現するのが良さそう。

綺麗な女性から老けたおばさんの様な姿までありったけのイメージチェンジを見せてくれるロザムント・パイクの魅せ方は目を疑うほど素晴らしかった。

そして、絶妙な気持ち悪さを保っているデジーのキャラが良い。

母のベストセラー小説である『アメイジング・エイミー』のモデルとなっており、幼少期から“完璧”を強制されて育てられたエイミーのバックグラウンドと、金もないの田舎町に連れてきて出会った頃よりも男として成り下がってしまった怠慢なニックが全ての元凶なのだろう。

こんなにクレイジーでサイコパスな女性は怖すぎる。そして、コロコロ手のひらを返すメディアや観衆たちも非常にリアル。

「結婚」というものの本質に迫った現実的でブラックな題材にド肝を抜かれた。結婚生活とは自分ではない別人を演じ続けなければ成り立たないのだろうか。常軌を逸した男女の価値観や過激な言動には恐怖を感じた。「結婚は人生の墓場」なのだろうか。

独身者や結婚する直前の人、結婚生活をしている全ての人に観て欲しい作品。

率直に結婚する前に観といて良かった。
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