Baad

リスボンに誘われてのBaadのレビュー・感想・評価

リスボンに誘われて(2012年製作の映画)
3.8
見てからほぼ一週間経つのですが、そのあと強烈な映画を何本か見たので、この映画の印象はほとんど残っていません。

正直メインテーマであるはずの主人公が魅入られた本のメッセージとか、主人公の生き方は、どうでもいいというか、誠実に生きていることを別に恥じなくてもいいんじゃないかと、ちょっと鬱陶しく感じたりもしたのですが・・・

この映画で唯一重く真実で大切なことは、自由を取り戻す為の革命にまつわる出来事を関係者が堅く口を閉ざして語らなかったということ、そしてそれをお気楽な旅人である主人公が唯一聞くことが出来、そのために関係者の心のわだかまりが少し消え、彼らの時間を明るい方向に少し進めることが出来たということであろうと思います。

ボルトガルは少しだけご縁があるのですが、こういう軽薄でない、地味で粘り強い国民性には頭が下がります。

ラストはちょっと軽薄に流れすぎたように感じました。もうひとクッション欲しかったです。

本のメッセージと、主人公の<自分の生き方が平凡で退屈だ>という思いに全く惹かれるものがなかったのでこの点数になりましたが、ポルトガルのカーネーション革命に関わった人たちの青春群像とその後の思いの描写は丁寧で誠実ですので、見る価値のある秀作だと思います。

ポルトガルに関心のある方は見ておくといい作品だと思いました。
現地ロケがとても美しいので、そこも見所です。

(痛みと証言 2014/10/14記)
Baad

Baad