こたつむり

ザ・ホスト 美しき侵略者のこたつむりのレビュー・感想・評価

ザ・ホスト 美しき侵略者(2013年製作の映画)
2.5
♪ 私以外私じゃないの 当たり前だけどね
  だから報われない気持ちも整理して 

一つの身体に二つの心。
ゆうきまさみ先生の『鉄腕バーディー』を紐解くまでもなく、かなり古典的な題材だと思います。“国民必携の書”にもドッピオ先生が載っていますしね。

だから、馴染みが深いんです。
しかも、本作の場合は“本来の所有者”が表に出てこれないパターン。ちょっとした物珍しさもあり、先がどうなるのか…気になりますよね。僕とは相性が良いアンドリュー・ニコル監督だし「これは期待で鼻が膨らむぞッ!」

…と、思ったら。はい。
いつものパターンですね。
期待値高めで飛び立ったものの、推力が足らずに墜落。僕は何度同じ過ちをすれば気がすむのか。「人類は同じ過ちを犯すものだよ」なんて偉そうに言えません。ぐは。

ただ、言い訳ではないですけども。
これって日本とアメリカの価値観の違いが大きいと思うんですよ。

例えば、侵略者に蹂躙されて人類はごくわずかとなった…というのが本作の舞台設定ですが、同じ題材を扱った大傑作を僕は知っているのです。

それは、藤子・F・不二雄先生の『流血鬼』。
まさに“日本人的魂”が凝縮した物語であり、それでいて意外性に満ちているのですから、生半可な着想では太刀打ちできません。

翻って本作の根底にあるのは「自分たちが常に正しい」という価値観。だから、侵略者に心を寄せることも、価値観が逆転することも許しません。

でもねえ。
僕は偉そうに言えませんが、人類は過ちを犯す生物。「自分が常に正しい」というのは驕りの一種だと思うんですが…ハリウッドの娯楽作品に“それ”を言うのはナンセンスだとは自覚してますけども…。

まあ、そんなわけで。
監督さんらしい演出と切なさを味わえたのに消化不良に陥った物語。アクションも少なめですし、全体的にモタッとした感じも否めないので…期待値低めで臨むことをオススメします。

あと、個人的には役者さんの存在感が薄いことが気になりました。最初のうちは誰が誰だか見分けがつきませんでしたよ。勿論、僕の目玉は銀紙なので参考になりませんが…。
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