てつこてつ

イン・ザ・ヒーローのてつこてつのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ヒーロー(2014年製作の映画)
3.3
円谷プロの「ウルトラマン」シリーズや東映の仮面ヒーローシリーズ等、日本は世界に先駆けた特撮アクション物がお家芸だけに、もっと早く、こういったスーツアクターを主人公にした作品が出来ていてもおかしくなかったね。

今回の作品の主役に唐沢寿明とは、まさに、彼自身、スーツアクターからキャリアをスタートし、トレンディドラマでブレイクを果たした芸歴を考えると彼以上相応しいキャスティングは考えられなかっただろうし、実際、自身自身も本当に生き生きと楽しそうにこの役を演じているように見うけられる。

ストーリーも過度な喜怒哀楽の演出もなく、とても見やすい。もう少しドラマチックな展開があってもよかったかなあとも思うけど、まあ、余りにも要素を詰め込み過ぎるととっ散らかった感が出て来てしまうので、ブルース・リーに憧れスーツアクターの道一筋で邁進してきたベテランとハリウッドデビューを夢見る若手俳優の二人の視点に絞ったのは正解。

福士蒼汰も好演だし、元々関西出身の黒谷友香の関西弁丸出しの役どころもいいし、個人的には、寺島進がピンクキャラという女性役のスーツアクターの第一人者という設定がツボにハマった。大御所・松方弘樹の使い方も良いね。主人公の生命の危険と隣り合わせの職業に付いていけず別れはしたものの今だに愛情を抱く和久井映見も魅力的。

ただなあ・・クライマックスでは、ハリウッド作品で誰もやったことがないスタントアクションに主人公が挑むという一連の流れとなるんだけど、「モータル・コンバット」とか、それこそ、リアルな本場ハリウッドのアクションを見た後だと、やっぱり、ちとチープに見えてしまうのが残念。下手したら「蒲田行進曲」の階段落ちのほうが凄くない?

それでも、日本のエンタメ界を支えるスーツアクターや裏方さん達に最大限のリスペクトを捧げたこの作品が制作された意味は大きい。

エンディングロールの一番最後に、唐沢寿明のスーツアクター時代の貴重な写真が流れるので最後までお見逃し無く。
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