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バットマン ゴッサムナイトのMASHのレビュー・感想・評価

3.0
おそらく『マトリックス』から派生したアニメ作品である『アニマトリックス』の成功にに乗っかる形で作られた短編集。ノーラン監督の『バットマン ビギンズ』と『ダークナイト』の間を描いた作品ということらしい(全く関係ないが)。6つの短編からなる作品なので、今回は一つ一つざっくりレビューしていくことにする。

1.俺たちのスゴい話
4人の子供たちがバットマンの目撃談を披露するという、個人的には一番この作品のコンセプトを生かした作品だと思う。バットマンの周囲の人物ではなく、ゴッサム市民から見たバットマンのイメージ、またはゴッサムという都市の姿を描くというのは、まさしく短編にしかできないこと。子供たちの視点から描くことで、よりイマジネーションに溢れた作品になっている。細やかな背景とと動きを重視したアニメーションは独特で視覚的にも楽しめる。4点

2.クロスファイア
ゴッサムに来たばかりでバットマンに不信感を抱いている警官のお話。なんだかんだでバットマンに救われて、彼の存在意義を認めるようになるという流れ。なんかよく見るはなしな気がするし、いちいち1本の短編にする必要があるのかなと思ってしまう。ただバットマンの姿がやたらと恐ろしく描かれているのは好感が持てる。犯罪者たちがなぜバットマンを恐れるのかがよく分かる。3点

3.フィールドテスト
バットマンがある装置の試作品のテストをするというお話。正直言うと一番退屈。ヴィランが出るわけでもなし、新武器も大して斬新なものではないため、内容も絵面も地味。アニメーションも綺麗ではあるが、少女漫画っぽいという印象以外は残らないかな。「命を懸けるのは自分だけでいい」という最後のセリフは好きだけど。2.5点

4.闇の中で
スケアクロウとキラークロックという有名ヴィランが出ているにも関わらず、一番印象に残らない。観ている間はアクションが多くそこまで退屈に感じなかったが、観終わった後だと内容すら思い出せない。これこそまさに短編でやる意味のないお話。2.5点

5.克服できない痛み
怪我を負ったバットマンが下水道で彷徨う中、バットマンになる以前の修行時代のことを思い出すという内容。痛みを克服するために修行に出たブルースだが、彼が抱える痛みとは"内なるもの"であった、という非常にバットマンらしいテーマ性を持っている。無駄なアクションシーンもなく、彼の精神面に注目しているという点で中々興味深い。ただ、過去と現在の出来事が物語的にあまりリンクしていない。ラストシーンで大量の銃を抱え絶望的な表情を浮かべるバットマンは印象的。3.5点

6.デッドショット
デッドショットの暗殺を阻止するために奔走するバットマン。非常にキャラのデザインが濃ゆいのが好みが分かれそう。個人的にはあり。デッドショットの狙撃シーンはまぁまぁ面白く、二人の対決もスピード感があって見応えあり。あと、バットマンと銃の関係をテーマの一つにしていたのも良かったと思う。ただ、「バットマンvsデッドショット」というだけでそれ以上のものがないとも言える。3点

結論
良い作品もあるが、総合的に言うと微妙。『アニマトリックス』のような主人公などに拘らない広がりのある世界観を描ければ面白い作品になったと思うが、「バットマン」という題材とは少し相性が良くなかったのかなと思う。ファンなら観ても良いかも…?
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