八咫

キル・ユア・ダーリンの八咫のレビュー・感想・評価

キル・ユア・ダーリン(2013年製作の映画)
3.8
デインデハーンがもう役にぴったりで…!
BLだと聞いてからずっと観たかった映画がGYAOで配信されていたので2倍速で観てしまった。
これは実在のモデルがいるんだね…?それがしかも詩人だから本当にセリフの一つ一つが文学的に豊かで頭の中がどんどん文字で埋まっていく気持ちよさを味わえた。
タイトルのKill your darlingもまた良い。
ダニエルラドクリフとデインデハーンのラブストーリーかと思いきやそう簡単ではないのも良いし、こういう文学者がモデルにありがちなくらーい映画でなかったのも良い。明るい映画とは言えないけど(笑)
ダニエルラドクリフが供述書に書いた言葉も良いね。なんていうんだろ、それが観た者の糧になるわけではないんだけど、確実に彼らがこの映画の中で生きていて、その上で上手く彼ら自身が文字に起こした文章っていうのががんがん伝わってくる。
「何かを愛した時それは永遠に君のものになるかもしれない
それは突き離しても弧を描いて君の元へ戻ってくる
君の一部となり…」
これは、なんだろう、アンナチュラルの中堂さんの言葉を借りると「殺した奴は殺される覚悟を持つべきだ」に通じる。何かを物にしたらそれに対する覚悟を持つべし。責任を持つべし、だ。その何かは物ではなく自我があり、それに関わった己の責任がある。そして己自身も全く意に介さなかったとしても、その時間、精神を割いたための自業がある。

モデルになった人物の詩も読みたいし、最初の出てきた「生まれ変わるならまず死ぬべきだ」のイェイツの詩も読みたい。

こういう、これから新しい波を起こすぞ!っていって文学派の名前まで考えて若者が奮起して頑張ってるのが良いね。

あと!!個人的にずっと気になっていた曲がここで判明した。劇中に流れていたクラシック曲、主人公の母親を宥めるときにかけていたレコードから流れる曲(その後何度か使われる。主人公とデインデハーンの出会いのきっかけにもなる)ブラームスの交響曲第三番第三楽章です!


脚本 4
美術 4
演技 3
演出 4
チープ感のなさ 4
満足度 4
その他(音楽、カメラワーク)
八咫

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