『イット・フォローズ』『アンダー・ザ・シルバーレイク』の長編映画監督デビュー作品で気になっていたもの。
とある街における夏休み最後の「スリープオーバー(=お泊り会)」を舞台に、思春期の少年少女たちの様々な挙動を描いた青春映画。
私、グレタ・ガーウィグ監督『レディ・バード』のレビューで、「青春」という概念を構成する一側面として、
「パンパンに膨張した自我を社会との軋轢の中で擦り減らしながら、徐々に社会性を獲得し、大人になっていく」要素があるということを記したが、本作もまさにそれだと受け取った。
なお、本作においても少年少女が自我を擦り減らす(ネガティブに表現しているつもりではなく)様子がたっぷりと描かれるが、主たるその相手方は「社会」(即ち大人)ではなく、「少年少女間での擦り減らし」。
簡単に言うと、とにかく「折り合いがついてない」んですよ。
自分が何者であるか、何者でありたいのか。または相手が何者であるか、何者であって欲しいのか。
そういったこと全てに対して「折り合いがついていない」存在としての少年少女。
いや、もっと究極に身も蓋も無く言うと、「不器用な存在」としての少年少女。
そうした不器用な存在である少年少女がとあるスリープオーバーの夜を舞台に、地域内の色んなところでお互いに関わり合うもんだから、
「不器用×不器用」が乱反射して、そりゃあもう、おっさんである私から見たら気まずくて歯がゆくてしょうがない状況が現出したりします。
や、でもそれが青春ってもんです。なので大丈夫(何が?)。
そういう意味で、爽やか系というよりも「気まず甘酸っぱい」的な絶妙な心持ちにさせてくれる作品で、かつ、そういう気持ちにさせてくれるということはちゃんとリアルに青春が描けているということ。
コメディータッチというわけでもなく、本当に淡々と、とある一夜を描いた作品でもあり、総評としては数多ある青春作品の中でも結構個性のある作品と言えると思います。
一点難を言えば、一種の群像劇であって登場人物が多く説明的な描写も少ないため、各キャラクターの認知になかなか骨が折れる面あり。
ま、それを差っ引いても、オリジナリティーのある青春映画の良作だと思います。
(かなり熱狂的なファンがいるということにも納得)