舞台は東京のうらぶれた下宿館。
屋根裏を徘徊し、住人たちの淫らな私生活を覗き見していた青年が、次第に恐ろしい犯罪に手を染めていく。
江戸川乱歩の原作小説を実相寺昭雄が映画化。
昭和初期の東京の下宿屋を舞台に、屋根裏を徘徊し節穴から住人たちの淫らな私生活を繰り返し覗き見る青年の姿を描いた、乱歩生誕100周年記念作品。
あの『帝都大戦』の監督でっせ。
8個くらい部屋のある下宿の一室に住んでいて、押入れの中を寝室にしている女装癖のある男が、ある日屋根裏へ入り込めることを発見して、それぞれの部屋に住む住人達の普段の生活からは想像できないような赤裸々なプライベートを覗き込み、だんだん頭がおかしくなって犯罪を犯して、明智小五郎に「犯人はオマエだー!!」とされるはなし。
エロい人とキチガイしか住んでない下宿ってスゴいですね。
乱歩を映像化した作品は多々あれど、初期乱歩……というより初期明智の「こいつ絶対、犯人より危ないよな」という怪しさを映像化した作品は、なかなか他にないと思う。
前半が、濡れ場ばかりでちょっとダレるけど、明智が登場するまで我慢してみる価値はあると思う。
小五郎役、嶋田久作でいいのかな?
と思いつつも、役者さんがすべて気色わるいせいもあって、原作の妖しい魅力をよく表現できていると思います。
イメージに合うか合わないかと言うより、映像に合ってる。
だが、犯罪に魅せられていく男の姿よりも、各部屋の住人の変態プレイの数々がメインになっているのがちょっと残念…。
これじゃあ、『屋根裏の散歩者』を見てるのか出来の悪いポルノを見てるのか分かりません。
描写がいちいち細かすぎて、ひとりで観ていても思わず赤面するほどです。
下手なAVよりエロいよ、うん。
自らの性癖を隠すどころか、それを虫眼鏡で増幅させてスクリーンに火をつけんとする、その表現者魂には、思わず涎がたれるほどあっけにとられてしまいます。
苦手な人は苦手かもしれない。
ただ、誰もが持っている欲望・本能だから、全部が全部否定できないはず。
しかし、他者の秘め事を覗く快感とそれすら飽きてしまったものによる、より大きな刺激(殺人)をしてしまったものを描いているが、それすらも退屈に感じてしまう主人公は、最終的にはどこにいくんだろう…。