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消えた画 クメール・ルージュの真実のMKのレビュー・感想・評価

4.2
切ない。

とはいえクメール・ルージュすらよく知らなかった無知な自分。
この映画のお陰で知り、少しでも勉強することが出来たので前向きに感謝しないと。

カンボジアでのポル・ポト政権支配下において資本主義的な生活を否定されて農村に強制退去の後ひたすらに生産労働を強いられ、飢えのなか家族や多くの同胞を失った監督の映像なき当時を想起させるための泥人形での再現ドキュメンタリーという解釈…あってるといいけど。

移動手段も生産手段も文明の利器を排除されたなか、性別も身体状況にも容赦なく平等な強制労働…推計が色々ありそうだけど百万人以上の方が亡くなったということで見ていて心苦しかった。

こういった原理主義的な思想が盛り上がったきっかけにアメリカ軍による大量爆撃とそれによる饑餓もあったようにも示唆される。

この殺人はカルマや宗教のせいではない
思想のせいだ

どんな全体主義もウソから始まる

クメール・ルージュの以前から
貧乏人は土地を追われ
兵隊になるしかなかった
そこにアメリカ軍だ
50万トンもの爆弾を落とした
貧しい人は拳をかかげ
革命に加わった

クメール・ルージュは正義や
平等 幸福 進歩に関してウソをついた
すべてウソだ

今でも穴を掘るのは貧しい人だ

そこに死者が? いる
時に踏みつけてる気がして よけたりする
魂はいつもさまよい 居場所を探す
優しく気高い考えだ
多くの人が反抗した 多くの人が…

沈黙で 一つの言葉で 一つの笑顔で
拒否を表すには仕草で十分だ
拒食を宣言した父を思い出す
時に沈黙は叫びとなる

人類が避けるべき経験など 無数にある
その経験が義務なら 死んだほうがよい

だが見たり 聞いてしまった者は
生きて物語らねばならぬ
MK

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