毎日毎日、どうしても続きが観たくなる戦後の広島ヤクザたちの仁義と保身と裏切りと血飛沫。
昭和35年。広島最大勢力の村岡組の実質No.1幹部が殺されたことにより、跡目を巡って打本組と山守組による抗争が勃発。後押しを求め打本が西日本最大勢力の神戸・明石組に接近したことから、事態は一大抗争へと発展して行く。
2作目がスピンオフ的な位置付けの作品だったのか、今作では再び広能（菅原文太）が主演に復帰。出世と保身のための勢力・派閥争い、裏切りと血みどろの抗争はよりスケールが大きくなった。
明石組のモデルは言わずと知れた日本最大級の暴力団組織・山口組。チラッとしか映らないが明石組組長の丹波哲郎はやっぱり迫力がある。
そんな明石組と対抗する、同じく神戸の神和会。その2組の西日本での勢力争いの重要拠点となった広島での村岡組と山守組による代理戦争。
相も変わらず顔面激強おじさんたちがドアップで怒鳴り合い、裏をかき合い、殺し合う。
広島での勢力を得るために明石組に盃ももろて〜
でもあんな外道は許せんから盃は返させてもらいます〜
そしたら今度はそっちが神話会と盃交わしたさかいもう一回あっちと盃交わしてこな戦争なるで〜
そんでもこんな外道と盃は交わせませんわ〜
もうずっとこんな感じ。もちろん目の覚めるようなアクションシーンは健在ながら、次作へ繋がると思われる複雑な相関図の描き出しにあたる本作。
テンポがいいから付いてくの大変だけどやっぱ面白いんだよな。目一杯風呂敷広がったし、これはこれである意味『バック・トゥ・ザ・フューチャーPart2』なんだよな。
"わしゃ馬鹿でええと思とりますがの"
冒頭でそう言う広能だけはやっぱりとにかく真っ直ぐでカッコいい。保身のための裏切りばかりの中にあって、広能だけは極道としての仁義を胸に持ち続けている。
あんなに信用ならんと言いつつも、山守組長の家の前に怪しい奴がいると聞けば部下を連れてすっ飛んでいく。
そんな真っ直ぐすぎる男が故にこういった卑怯とも取れる戦略は苦手なのだろう。
"わしらばっかりが火の粉を浴びることないじゃない、山守にも火傷さしたりや"
同じ苦労を味わう兄弟分だからこその発言も裏目となり、いよいよ孤立する広能。
部下の遺骨を握りしめる真っ直ぐで苦々しい表情が渋すぎる。菅原文太凄すぎる。
"戦いが始まるとき、まず失われるものは若者の命である。そしてその死はついに報われた試しがない"
極道に憧れてその世界に飛び込む若造たちも結局は使い捨ての鉄砲玉なのかという哀愁と原爆ドームの映像を合わせてくるセンスの強さよ。
続き気になるな〜。
1作目で死んだはずの梅宮辰夫が眉毛全剃りで別人として登場したのは笑った。
そして金子信雄が演じる山守組長、どんどんと卑怯な子悪党の性根が剥き出しになって来てて本当にイライラする。どうか無惨な最期を遂げてくれ…！
