エディ

女神は二度微笑むのエディのレビュー・感想・評価

女神は二度微笑む(2012年製作の映画)
4.5
インドのコルカタで失踪した夫を探しにロンドンからやってきた身重の妻が真相を暴くサスペンス。非常に締まった作りの珠玉のサスペンス映画。どんでん返しの結末は全く想像が付かなかった。

夫アルナブが1ヶ月前に出張先コルカタで連絡が途切れたので、身重のヴィディヤがはるばるロンドンから夫を探しにきた。警察に相談したが、宿に泊まった気配はないし勤め先のはずの国立データセンターの職員でもないと言われてしまうばかりか、インドと英国の出入国記録すらなかった。若き警察官ラナが夫探しに協力をしてくれるようになるが、夫探しに協力してくれた人たちが次々と殺されていく。そんな中で、国立データセンターに夫と瓜二つの職員がかつて在籍していて、その職員は2年前にインド地下鉄で起きた大量殺人事件の首謀者として手配されていたのだ。
夫と大量殺人犯が間違われて事件に巻き込まれたのか、それとも子供が嫌だったので妻の元を逃げ出しただけなのか・・・。そして事件は衝撃の結末を迎える。。。

この作品はインド映画だが、踊りや歌が全くなく、ハリウッド作品と全く遜色のない素晴らしい出来栄えだ。特に、緻密な構成の脚本は素晴らしいとしかいいようがない。どんでん返しの映画だということは知っていたので、結末をあれこれ想像しながら観たが、全く想像が付かなかった。しかし、唐突ではない。伏線や小道具はたくさん用意されていて、衝撃的なラストが完璧に演出されるのだ。

映画タイトルの女神とは、ヒンズーの女神であるドゥルガーのことで、この女神は悪魔退治のために遣わされた戦いの神で、美貌と激しく好戦的な気性の二面性を持つ神様だ。そして、この映画は「本名と愛称」、「情報局職員は仮の職場勤めをする二面性」というように、人の持つ二面性を描いている。これが、タイトルとマッチして、作品を味わい深く仕上げている。

更に、この映画はドゥルガーを称えるコルカタ地方最大の祭りである「ドゥルガー女神祭祀」のクライマックスと映画のクライマックスをそろえることで、クライマックスシーンを幻想的に盛上げるだけでなく、女神の二面性を見事に表現しているのだ。

なぜ身重の設定にしたのか?ヴィディヤのきれい好きななぜだ?ラナは仕事をさぼってなぜ協力しているのか?カーン警視は敵なのか?全てはラストに見事に紡がれていく。

インドのエキゾチックさ、幻想的な、猥雑さを描きながらもシリアスに人が死んで追い込まれていく恐怖をしっかり描いている。こんなに緻密で見応えのあるインド映画は他に知らない。

この映画は絶対にネタバレを観ないで鑑賞することをお勧めする。

鑑賞の際に注意することは、名前が出てくる登場人物の中でも、情報局の上層部の連中と元職員の名前や顔、そしてその関係をしっかり覚えておくほうが良い。ラナやカーンなどは直ぐに覚えるが、上層部はあまり姿を出さないが、ここをしっかり理解しておくと、ラストの「してやられた感」が更に増すと思う。

インド映画なんて先入観はやめてほしい。どんでん返しの見事さに関しては全サスペンス映画の中でも指折りの見事な作品だ。