このレビューはネタバレを含みます
レース関係ないじゃん!という点に於いては、まぁ別にレース映画そんなにだしな…というポジションでなぁなぁにした結果、そんなに悪くなかったな、って。
田舎の農場で親子関係、となると好きな映画である[ 1922 ]をちょっと思い出す。あっちはホラーだけど。
こっちはこっちで、成り上がろうと奮闘する親父、しかしその裏には代々継いできた畑・父親からの重圧がある。
そして父親は恐らく優秀だった、今は家を出て旅をしているらしき兄貴に農場を継がせる期待を寄せていて、息子は若者らしいアクティビティの禄にない田舎で鬱屈としながらカーレースに精を出す。
ちょっと農業のシステムが分からないけれど、種の再利用というやってはいけない事に手を出し、浮気までしている父親。その事で後半、親子揃って敵を作りがちだった為に大変な目に遭う。
基本的には農業の親父、レースの息子って感じだった前半から、この後半の親父の不正と多方面に恨みを買っているために息子が勘違いして別人のところに乗り込んで、揉み合った末に殴り殺してしまうって流れになるのだけれど、後半部分ちょっと短かったなぁって。
息子を守りたくて、通報しかけた電話を切り、古井戸に死体と証拠を投げ落としてから、何をしていても後悔や罪悪感が押し寄せてシナシナのデニス・クエイドがとてもよい。
そもそも田舎のトウモロコシ畑のオーナーって役が似合いすぎなのに、やってしまった事に押し潰されそうで泣く親父に察して話し掛ける母親、それでも、母親は恐らく全て分かっているのだけれど、自分がやったのだと。
不器用ながらも親父は本当に次男のことも愛していて、息子もここでようやく農場を継ぐことを決めたのかなぁと思った。
ただただ罪悪感に呑まれそうな親父と違って、息子の方は心情が分かる描写がないのが気掛かりだし、最後の顧客を招いた感謝パーティーで息子が農場を継ぐ事を発表して一見幸せそうなのに、やっぱり親父には影があるし、あの井戸もいつか暴かれるかも知れないし、なんとなく暗く終わる。
そこがよい。そこが好きなだけに、前半の方の話もっと短くても良かったな~って思ったなぁ。
夫の浮気を知っているし、息子の怪我を見てもしかして、と思いながらも詰め寄ったりしないし、夫が自分が殺したと泣くのを抱き締めて わたしが居るわ って言う奥さんが一番すごいなぁ。
兄貴は山に登ったしそろそろ帰る、みたいな葉書きてたけど、帰ってこないかも知らんし…。
前半息子の彼女だった子きらいじゃないけど、やっぱ前半短くて良かったよ。