まりぃくりすてぃ

劇場版 零 ゼロのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

劇場版 零 ゼロ(2014年製作の映画)
2.0
中条あやみの映画デビュー作。

それでは、自称・あやみ倶楽部(女子専科)部長マリしゃんに、あやみをどれぐらい好きなのか訊いてみましょう♪──
「えーと、例えば、あたしが今高校二年だとして、修学旅行の班にあやみを入れてあげたい感じっす。あたしともう一人華やかめな班長の子とで主にぺちゃくちゃしてて、ほかの子たちとあやみは後ろや隅っこで笑ってる役っす。あ、女子だけ班の場合ね。そぅして、大原の山道や哲学の道でくたびれたら、カバンをあやみに持ってもらったり、清水の三年坂で足が棒になったら、あやみにおんぶしてもらいたい感じっす」
「あは。地味に京都ですか。沖縄や北海道やグアムやカザフスタンじゃないんですね♪」
「えっとー、海やグルメより、西陣着物ショー見学とか坐禅体験学習のがお洒落じゃなくないすか?」
「あー。ですね♪」
「それと、修学旅行はあくまでも消灯後の恋バナ&逆夜這い&枕投げがメインっすからね。どうせ酎ハイ飲みすぎの二日酔いとかあるし、昼間の巡り先はどうでもいいんす」
「枕投げですか。あやみちゃんは体が大きいので枕が当たりやすそうですね。泣いちゃったりしませんかね♪」
「そうっすねー、そのへんは自己責任ってことで。もちろん、いざとなったらリーダー格のあたしが体を張って守ってあげますけどね」
「あやみちゃんは大阪出身ですし、けっこう気が強いかもしれませんね♪」
「ま、体育祭での騎馬戦では、当然、センター騎馬をあやみにやってもらうことになりますね」
「マリさんは騎手でしょ♪」
「あー、あたしは上に乗ると得意の左フックとか出しちゃって敵をマジ殺しちゃいますからねー、まあ、右のサイド騎馬の一人ってことでもう一人のリーダー格の子と一緒に淑やかに蹴りに専念します。やっぱ立ち技の基本はローキックっすよね。ムエタイ習いたい♡ あ、韻踏んだのわかります?」
「では、そろそろ映画の話に戻りたいと思います。本作『零』はいかがでしたか♪」
「韻スルーっすか。……えっとー、まあ、あやみとあやみ以外の女の子たちとのルックスの落差が大きすぎて、ちょっとアレでしたね」
「その落差は、物語上、必要というか妥当な目盛りを超えてましたか♪」
「ええ、超えちゃってたようでしたね」
「キャストの皆さんの演技力はいかがでしたか♪」
「あー、誰の演技にも客は期待してません」
「なるほど♪」
「電通&カドカワ商品ですからね、パーッとしてればいいんです」
「パーッとしてましたか♪」
「ですから、あやみ以外はパーッとしてなかったってことっす」
「なるほど。くどいようですが、あやみちゃんだけはパーッとしてましたか♪」
「それについては、後半に、あやみとあやみが抱き合う珠玉のシーンがあるんです。邪魔者が一切いなくなってダブルあやみ・オールあやみな時間帯ですからね、それはもう映画の山頂でしょう」
「山頂にサンキューですね。あ、頭韻失礼いたしました。ストーリーはいかがでしたか♪」
「うーん、、ストーリーってか、これは原作ゲームがどうこうじゃなく映画としての撮っていき方と編み方、つまりストーリーテリング全体の問題なんですが、まず、これといった摑みがなくてただじっくり組み立てていく感じの作りなのに、前半はモタモタなんすよ。モタモタな幽霊ホラー。美しいあやみは、時々現れる幽霊。ほかのみんながそれ以外のストーリーを回してるんすけど、とにかくみんな魅力がない上に台本的にも編集的にもあらゆる場面がモタモタしてて、似た場面ばっかりが繰り返されて」
「リフ効果ってやつですね♪」
「効果? ホラーなあやみが現れてはほかの女子に一回一回百合キスしそうに迫って、でもキスせず、耳に唇近づけて囁くだけ。って場面が、何度も何度も何度も単調に来ますからね。さっさとキスすんならいいんすけど、」
「百合シーンに期待しちゃった、と♪」
「いえいえ、べつにそんなの観たいわけじゃなく、とにかく、映画としてモタついてんのが時々イラッとするんすよ。でも、これが晴れて映画デビューだってのに、あやみは最初っからずっとずーっと幽霊係っすよ。ちょびっとは本当に怖いんす。鼻高っすからね。そのままモンスターとして退治されゆくあやみなのかと案じましたわ」
「では、ともかくもホラーとしてそこそこの魅力はあったと♪」
「うーん、全寮制の女子修道院高校が舞台っすからね、やっぱシスター役も生徒たち役も、そういう西洋風が似合ってる人がいなくて、かといってB級ホラーとして肩の力ぬいて観れる感じじゃなく流れが重苦しくて、そこは演技ふくめて本格的に行くか、カワイイ子オンリーの学芸会で行くか、どっちかに振りきってほしかったっすね。変に平凡なキャストが多すぎるわりには、素人臭いんす。平凡な人たちが本格的に演技するか、スターたちが緩く学芸会するか、どっちかにしてほしかったと」
「わかりました。では、後半はいかがでしたか♪」
「そうっすね、後半ってか終盤は、一転して種明かしがめまぐるしかったっす。もしかしたらかなり高度な物語だったのかもです。ホラー方面へさんざんミスリードしといてクライム系、ってのは流行りの感じで好きになれましたけど、後の祭りって気持ちもありましたね」
「つまり後夜祭的な好き感しかもらえなかったと♪」
「上手いこと言うわね。それと、あいかわらずあやみとあやみ以外との落差問題。えっと、名前忘れましたけど最重要助演の女の子、目ばっかりギョロギョロしてて鼻低でベリーショートヘアで、個人的にあたしはその子を主役級としては長くは見ていたくなかったので、まあ好みもありますけど、物足りなかったっすね」
「そうですか。かなり不満なエンタメ映画だったってことですね。何か、あやみちゃん以外に収穫はありましたか♪」
「あやみだけでなくいろんな人物が、やたらと水に落ちたり水に浸かったりするシーン多いんです。主要な役者十二人ぐらいのうち十人ぐらいまでは池や湖や水槽や川にほぼ全身浸かってました。そういうズブズブ映画としては、大変に充実してたといわざるをえません。どの程度CGだったのか知りませんけど、みんな頑張ったねって」
「爽やかな感じですね♪」
「いいえー、もう寒い季節ですし、見てて肌寒くなってきました。途中でデッキ停めて葛根湯呑もうかと思ったぐらいです」
「まだ秋ですけどだいぶ冷えてきてますよね。風邪など召されませんようお気をつけくださいね♪」
「そうっすね。お互いに」
「本日はありがとうございました」
「そっすね。こちらこそ」

   (聞き手/クリしゃん♡)


[つたや]