Tラモーン

ケープタウンのTラモーンのレビュー・感想・評価

ケープタウン(2013年製作の映画)
3.8
ヘヴィなドラマを観たいと思ってたところにこれはなかなかの良作!


南アフリカ・ケープタウン。ある日、元ラグビー選手の娘が惨殺死体で発見される。捜査にあたるのはズールー族出身の警部アリ(フォレスト・ウィテカー)と、彼の部下で優秀な刑事だが問題児のブライアン(オーランド・ブルーム)、そして難病の妻を支える良き夫で良き父の刑事ダン(コンラッド・ケンプ)。3人は捜査を進めて行く中で、被害者が死亡前に麻薬の密売人と接触していたこと、麻薬を服用していたことを突き止める。その薬物は、同時期に多発していた児童失踪事件の現場に残されていたものと同じだった。


予想していたよりかなりヘヴィで見応えのあるクライムサスペンスだった!やっぱ麻薬カルテル系の治安悪いタイプの犯罪モノは緊張感あって面白い。
という意味では本作はその向こうにある巨大な陰謀からの、人種差別への赦しと復讐と、大きな意味ではアパルトヘイトという歴史を持つ南アフリカでかつ、主人公が黒人のフォレスト・ウィテカーであることを活かしたメッセージ性の強い作品だったように思う。

実直で真面目なアリ、酒に溺れ私生活もめちゃくちゃなブライアン、デスク組っぽいダンと3人の刑事たちのデコボコ感がバランスよくバディモノっぽい手応えの冒頭から一転、被害者が麻薬密売人と接触したビーチの捜査のシーンで突然緊張感。

晴れ渡るビーチと青い海を脇目にのんびり捜査してる画からの強烈なバイオレンス描写はインパクトあった。やっぱ麻薬組織は舐めてるとイカンな。耳…腕…。

全体としては淡々としながらもちょこちょこショッキングなシーンが挿入されるので緊張感が絶えない上手いつくり。

捜査が進んでいくにつれ、当初の殺人事件が氷山の一角に過ぎず、さらに巨大な悪業が見えてくるという謎解き要素も面白い。サイドストーリー気味だった児童連続失踪事件へと本題がフォーカスしていく流れもお見事。

そして自身が受けて来た差別に対しては赦しの心を持っていた男が、本当に大切なものや、子どもたちの未来を奪われたときに選んだ怒りの選択に痺れる。
フォレスト・ウィテカーはポーカーフェイスだけど、優しさを携えているときと怒りに打ち震えているときの雰囲気がガラッと変わるの流石だなぁ。

それと同じくらい本作でいいのはオーランド・ブルーム。『ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』の王子様みたいなイメージを完全に払拭して、ダーティでワイルド、粗暴なヤンチャ刑事を見事に演じ切る。
ずっと酒飲んでるし、名前も知らないゆきずりの女性と寝るしってめちゃくちゃな男だけど、曲がりなりに元妻と息子のことは大切に思ってるし、刑事としての正義感と執念は人一倍。

"あんたのような良き市民がいて嬉しいぜ"

黒幕の1人にガン飛ばしながら吐き捨てるのカッコイイ。
あと運転中の音楽が漏れなくカッコイイ。

ラストシーンの後味まで渋みのあるいい作品でした。


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元々麻薬ガラミのカルテルとかスラムとか治安悪い系のクライムモノは好きなんだけど、ここ1年くらいTwitterで定期更新されてる『地元最高!』というマンガにハマってまして。麻薬・覚醒剤って商圏というか縄張りが大事だから、利益確保のために暴力の連鎖が生まれて、その地域の治安が悪化していくという負のスパイラルを生むんたな…と勉強(?)になったり。
可愛い絵柄に反して暴力と薬物の蔓延る不幸の連鎖が生々しく描かれてるので、反社半グレ系のクライムモノが好きな方は是非。

https://twitter.com/jimotosaiko?s=21&t=QN58Th745kTtI_Yc3A3XIw

コカ●ン=チャリンコ、強盗=タタキ、という隠語はこのマンガから学びました笑。
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