土地のことで市と争って市長を非難した人間がいかにして潰されていくかを描いた話。弁護士が彼の悪事の証拠を握ってチラつかせたりしなければあるいはもう少しマシな顛末だったのか？ 今どきこんなわかりやすくあくどい市長いるんかいなと思うが、そこはおそロシア。実際、ここまではないと思いたいが自分を批判する市民に嫌がらせする市長は日本にもいるらしいからな。
裁判長の早口こわい。いかにも事務作業って感じ。見ながらずっと頭の中に浮かんでいたのは、田舎は嫌だということである。全てが市長の思うがままっていうのもうっとおしいが、それ以前に、あのどんよりとした殺伐とした雰囲気だよ。景色の暗さだよ。なにかっちゅーと皆ウォッカで呑んだくれるし、こんなところで暮らせないと主人公の妻も思っていたのではないか。彼女と義理の息子の折り合いの悪さが話をまたややこしくする。土地で争っている場面は思ったほど多くない。ある部分では土地のことは背景に退いてしまい、メインは主人公の妻がどうとかって話に。あの弁護士はモスクワに帰ったようだが、その後どうなったのだろう。最後の、いろいろ市長の悪事を知っていながらしれっと説教する司祭と、ありがたくそれを聴いてる市長一家の楽しげな姿が、救いのなさにとどめを刺している。ああ本当に田舎は嫌だ。
…ところで事件の真相、殺したのは義理の息子かと思ったが、ほんとは自殺なのに殺人だということにして主人公を刑務所送りにしたということもありうるなあ。
