KANA

マップ・トゥ・ザ・スターズのKANAのレビュー・感想・評価

3.6

クローネンバーグ監督作は6本目の鑑賞。

ショービズ界の縮図であるハリウッドで生きるセレブリティたちのリアルを、ブラックユーモアとバイオレンスで痛烈に風刺したような作品。

途中までは薄味かな、と思いきや、やはりじわじわ攻めてくる陰湿な粘着質。笑

イカれた登場人物揃いの中でも落ち目の中年女優を演じたジュリアン・ムーアが頭一つ抜けてた。
食うか食われるかの世界でのやさぐれ感、曝け出しっぷりがお見事!
『ブルージャスミン』のケイト・ブランシェットどころじゃない。
便座でのシーン、そこまでしちゃう?!
下着しかつけてない状態でのセラピーも怪しすぎだし、この役よく引き受けたなぁ。
いやここまでする女優魂がオスカー女優たらしめるのか。

ミア・ワシコウスカもジョン・キューザックもサイコパスっぽい薄気味悪いキャラ。

あと、絶妙にイラッとさせるのがスキャンダルだらけのティーンスターであるベンジー。
あのbossyな物言い!
チヤホヤされるとああなっちゃうんだなぁ。

虚栄心にまみれたマウンティングの世界をのらりくらりと描写するどまりでなく、衝撃的なバイオレンス描写がある。
映し方が臨場感たっぷりで観てて結構なダメージが…

ラリってるのか、毒舌を吐く霊が見えるオカルトシーンも時々挟まれて、なかなかにイッちゃってる世界観。

展開的に、人間関係のリンクのさせ方は巧いと思った。
まさか夫婦が…。

華やかな世界の闇をひたすらドス黒く描いてて鬱になりそうな感覚がなんともクローネンバーグらしい。
でも、ハリウッドまでいかなくともその辺の私たちの生きる世界でも多かれ少なかれあるあるな、ある種普遍的な心理なのかもしれないとも思わされた。
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