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Mommy/マミーのmochiのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
3.7
高校のときの友達に勧められたので鑑賞。ドランは『たかが世界の終わり』『私はロランス』に続いて3作目の鑑賞。前2作をみた感想は「少し苦手だな」という感じ。苦手だと感じた理由は以下の4つ。①感情の起伏が激しすぎる。喜怒哀楽の頂点しかないように見える。②上手くいく→失敗→上手くいく→失敗がずっと繰り返されるところ。③なぜか主要人物がみんな強がりで、外に向けては強情。④人間関係が閉じすぎている。社会の中での新しい人との出会い、自己改革が描かれない。今回の作品を観るにあたって、この4つを無意識的に意識しながら観た。それぞれについての感想は以下の通り。
①基本的にやはり感情の起伏が激しいキャラばかり。一方でカイラの存在があるので、今までの作品より気苦しくはなかった。②これはこの映画でも変わらず。③これも基本的にはそう。④この点が他のドラン作品とは違う点だと思う。カイラという第三者の登場、その中での母親、スティーブ、カイラ自身の自己変革が描かれているので、作品として深みが与えられている。カイラの吃音設定がカイラ自身の自己変革について語りやすくしている。①〜④の総評としては、他のドラン作品より観やすく、味わいがあって好きでした。一方で、やはりヴェンダースとかカサヴェテスの繊細な表情の描写が好きな私にとっては、感情表現は少し苦手かも。
カッコイイシーンは本当にかっこいいと思った。車でじゃれあう母親とスティーブの様子を窓から見て涙するカイラを後ろから撮るシーン、3人で自撮りをするシーンのカメラワーク、そして「母さんはいずれ僕を愛さなくなる」という発言を母にするシーンの黒バックと光。すごいセンス。画面のサイズの変更も面白い。こうしたシーンごとの素晴らしさは十分あるので、全体のストーリーテリング、カメラワークをもっと研ぎ澄ませてほしい。正直3作品とも展開が似ていて、登場するキャラの性格も似ているので、もうすこし違ったものが見たいというのが本音。強がりだけど本当は脆い人間像も、みんな画像で繰り返し見せられると、同情や共感しづらくなる。
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