emily

フレンチアルプスで起きたことのemilyのレビュー・感想・評価

4.8
スキーリゾート地にやってきた一家。事のはじまりは食事中に雪崩が起きたことだった。一目散に逃げる夫、それを根に持つ妻、周りも巻き込みながら、微妙な夫婦のズレを描く。5日間のバカンスで修復できるのか?

実際雪崩が起きたらどうだろう。短いようで長い5日間。崩壊にも修復にも十分の時間がある。些細なことが家庭環境に向かうジリジリ攻めてくる長回しのカメラワークがサスペンス感を作り、些細な出来事がなんでもないことが、大変なことになって描かれてる。もちろん音、音楽の使い方もサスペンス感を煽ってるし、アルプスの美しい景色も突き抜けた透明感が皮肉に刺さる。

夫婦の会話もセンスが良く、感情移入の対象がコロコロ変わり、些細なことを考えさす。一緒に見る人が居るなら、会話も弾むし、カップルなら喧嘩になるかもしれません。

男らしく父親らしく家族孝行する気満々だった男がここまでコテンパンにやられ、ラストには妻への反撃がある。

夫婦関係なんて些細なことで簡単に壊れるし、その逆もある。とにかく話題にはつきない題材で、そんな些細なことで夫と必死に話し合ってる自分を客観的にみて、やられた。とおもった。

破壊的に引き込む力を持った作品。
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