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ソウォン 願いのharuのレビュー・感想・評価

ソウォン 願い(2013年製作の映画)
4.6
2008年に韓国で実際に起きた、「ナヨン事件」を基に作られた作品。

韓国映画でしばしば目にする、実際に起きた悲惨な事件を映画化した作品は、目的意識が明確で好感がもてる。


『殺人の追憶』では未だ逃げ続ける犯人へ強いメッセージを送り、『トガニ』では韓国の司法制度の穴を強く指摘することで実際に法改正に至った。


この作品もまた、泥酔状態を心神喪失状態と捉えることで減刑につながってしまうと言う、何とも浅はかな司法への警鐘となる作品だった。


まだ幼い8歳の少女が失神するほど殴打され、女性としての機能どころか人間としての大きな機能を失ってしまうような暴行を加えられた。

被害者の証言、物証、前科など確たる証拠が揃っている中でも厳罰を与えることができない、誰が見ても明らかな現行の法制度の穴を世間に訴えている。


2020年12月、この映画の元になった「ナヨン事件」の犯人が刑務所から出所したという。
映画自体は「再生」をテーマにした前向きな内容であったため、視聴者は幾らか救われた気持ちになれるが、現実はこれから続きがある。


韓国司法制度の穴が、取り返しのつかない大きな穴ではないことを祈るばかりだ。
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