emily

ソウォン 願いのemilyのレビュー・感想・評価

ソウォン 願い(2013年製作の映画)
3.7
韓国で実際に起きた事件を題材に、繰り広げる絶望から希望を描くファミリードラマ。性犯罪にあった8歳の少女ソウォンは人工肛門になり体にも心にも一生消えない傷を負ってしまう。すぐにメディアで報道されてしまい、連日マスコミが病院に押し寄せ、ソウォンは父親が暴行を受けた男に見えてしまい、心を閉ざしてしまう。犯人逮捕に絶対的な証拠がなく、ソウォンの証言が必要。彼女の犯人を捕まえてという言葉に忠実に、証言を取り立証するが・・

まずしっかりと人物像を描き、幸せいっぱいの家族の日々を映し出す。そうすることで少女が傷を負った後、しっかり感情移入しやすい状況を作っている。はじめの家族の描写から一転した後は娘と父親の距離感の描写が絶妙で、彼の涙ぐましい努力に胸を打たれる。そうして彼女を家族を支える周りの人たちも非常に温かくて、残虐な事件の後にも愛で支えられてる希望がしっかりと描かれている。

父親の犯人逮捕に執着し、そこから復讐劇に陥るのではなく、あくまでもソウォンが守られて大事に育てられた子供で、事件があった後もなお、しっかり愛情に包まれて、傷を負いながらも、それにより家族の絆をさらに深め、未来は十分に明るく映ってる。

それは彼女の願いである。父は犯人の終身刑を望み、むりなら自分が復讐をと願っていたが、子供の願いは違った。今まで通り学校に通い家族で笑顔で暮らすこと。それが彼女の見る未来なのだ。

復讐劇に陥ることなく、子供の願いの目線で描かれてるのが韓国映画ではみずみずしく、さわやかな気分で見終えることができる。
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