ボブおじさん

めぐり逢わせのお弁当のボブおじさんのレビュー・感想・評価

めぐり逢わせのお弁当(2013年製作の映画)
3.7
インドではお昼どきになると、弁当を配達するダッバーワーラーという弁当専門の配達人がオフィス街で慌ただしく弁当を配って歩く。

ムンバイに住む主婦のイラは、いつものようにダッバーワーラーに丹精込めて作った夫への弁当を託したが、なぜかその弁当が早期退職を控えた男やもめのサージャンの元に届いてしまう。

最初にこの映画を見た時は、わざわざ列車に乗ってまで弁当を配達させるこのシステムに驚いたが、様々な文化・宗教が入り交じっているインドでは、タブーとなる食べ物が人それぞれに違うという理由もあり昔からこのような制度があるらしい。

偶然の誤配送がめぐり逢わせたイラとサージャン。それをきっかけに不思議で暖かな2人の交流が始まっていく。

結婚をしているイラも妻を亡くしたサージャンも、それぞれの心に孤独を抱えている。その中で奇跡のようにつながった2人のささやかな交流。ネットやメールではなく弁当と共に運ばれる手紙というのが微笑ましい。果たして2人はお互いの心の隙間を埋めていくことができるのだろうか?

2人の関係がどのように発展していくかというメインのストーリーと共にインド独特の文化や習慣、そして今だ残るカーストの名残りにも興味が湧いた。

そしてこの映画のもう1つの魅力は、イラが作る愛情たっぷりの美味そうな4段重ねのインド式の弁当だ。


公開時に劇場で鑑賞した映画を動画配信で再視聴。


〈余談ですが〉
日本人から見れば非効率的に思える弁当配達システムだが、インドの文化・宗教・身分制度などの複雑な背景を考えると理にかなったシステムなのかもしれない。
初めて見た時インドのオフィス街で弁当屋開いたら大儲け出来そうと思った自分の浅はかさが情け無い😅

定年直近のサージャンが、イラの若さに引け目を感じて身を引くような描写に違和感を感じた人もいると思う。
だが、まだ老け込む年でもあるまいしと思うのは日本人の感覚で、当時のインド人男性の平均寿命が66歳前後と考えると合点がいく。
プロフィールにも書いたが、映画を見る時はどこの国のいつの時代の話かを考慮するとより理解が深まると思う😊

以前見た同じくインド映画で「エンドロールのつづき」という映画好きの少年を描いた映画があった。監督自身の少年期を描いた半自伝的な映画だったが、その少年が映画館に毎回持っていく弁当がどれも美味そうだったのを思い出す。
この手の映画は、出てくる食事が美味そうだと感じられるか、られないかで映画に対する評価も変わってしまうような気がする😊