そのじつ

悪童日記のそのじつのレビュー・感想・評価

悪童日記(2013年製作の映画)
3.2
ああっ、あのばあちゃんの胸熱エピソードが無い・・・
原作ファンとしては何か物足りない。それは引っ立てられてゆく人々の長い行列を見た後、双子とおばあちゃんが通じ合う時が訪れる決定的シーンが抜けているからかとも思う。(双子はなにも語ってはいないのだが。だがその後の行動を見るとわかる)
「魔女」と呼ばれるに至った詳細は一度も語られないが、あの林檎の中で彼女が倒れていたシーンがあるから、双子とおばあちゃんの魂は価値観は繋がっていると思える。そしてその彼らの寡黙な魂が行いによって表す意思に、多くの読者が惹かれたと思うのだ。

とはいえ、小説では削ぎ落とされていた少年たちの涙や腫れ上がった傷を目の当たりにする体験が出来、クリストフの描いた世界の外側を見せて貰ったような気持ちになった。
口をつぐんで耐えている彼らの目を見るだけで、胸に迫るものがある。
その絵はまさに『悪童日記』だなと思える。
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