emily

悪童日記のemilyのレビュー・感想・評価

悪童日記(2013年製作の映画)
4.9
第二次世界大戦末期1944年、双子の少年は母に連れられ国境近くの祖母の家に預けられる。薪割りや鶏や豚などの世話の仕事をして、一杯のスープがもらえる生活。女の子の友達もでき、一緒に寸劇をしてこづかい稼ぎをしていた。森の中で兵隊の死体を見つけ武器を盗む。いつまでも迎えに来ない母を忘れるため、写真を焼き、厳しさに耐える訓練を始める。断食したり、生き物を殺して標本にしたり。母親は迎えにくるが空爆に会い死んだり、友達の女の子も兵士に殺されたり、残酷な出来事が続く。そうして最後の訓練は別れの訓練だが・・

親の都合で捨てられ、自ら生きるために自分を守っていかなくてはいけない立場の子供たち。痛々しい現状化と、周りに教えてくれる大人に恵まれず、母親と別れる前に言われたこと、日記をつづること、勉強することをひたすら守り、生きるために自分たちなりに勉強していくのだ。

そこは無知ゆえの残酷さがあって、それをしっかり否定して正してくれる大人がいない。賢さゆえ彼らの言うなりにことが進んでしまってるので、彼らの信念はどんどん強さを帯びていくのです。

訓練と言われる勉強もどんどんエスカレートし、子供と大人のはざまで何が悪で何が正かそのラインが崩れていく様が面白い。そこに大人も居るはずなのだが、その世界では彼らがトップに立っている。

どんなものも勉強の訓練の踏み台になっていく。恐ろしいけど、これもまた子供が成長してく様を描いた物語である。子供は吸収が早く、大人がいなくても勝手に成長していく。しかし善悪を正せる大人の存在は必ず必要である。もちろんしっかり行動でそれを示している大人でなくては、説得力はない。

一方で彼らの行動は大人の行動を見て学び、身に着けたものである。それが間違ってると思うなら、彼らを責める前に、大人たち、自分の行動を責める必要がある。
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