結湖

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)の結湖のレビュー・感想・評価

3.5
面白いんだけど、見る人を選んでしまう作品でした。
リーガン(マイケル・キートン)の心象と現実世界が入り混じっていると取るか、そもそも彼がそういう人だと思ってみるかでも違ってくるけど、この映画の場合はそれはどうでもいいんだろうと思う。
きっと、それはどちらもリーガンにとって現実であり、彼が思い描く心象でもあるから。そうじゃなければ、彼の心の声であり、過去の栄光の象徴であるバードマンを否定してしまうことになってしまう。そしたら、ラストにつながらない。
映像もほとんどがワンカットで撮影されていて、普通ならカットを入れて時間の経過を入れたりするけど、それすらも同じ画面で自然に入ってくる。一体どうやって撮ってるんだろう。
その昔、大ヒットしたヒーロー映画の主役だった俳優のリーガンが、役者としての再起を図るべく舞台に挑戦する物語なのだが、予期せぬアクシデントや、リアルにこだわりすぎるちょっとアレな俳優マイク(エドワード・ノートン)とかに翻弄されまくる。その中に、今のハリウッドの流れの横っ面を引っぱたくようなセリフや映像がどんどん出てくる。
こんな内容の映画にアカデミー賞のしかも作品賞をあげてしまうあたりハリウッドって懐が深い。それを含めてエンタメとして面白い映画だってことを認めるってのは、それまで築き上げてきたハリウッド映画ってブランドのプライドだろうと思いました。
それにしても、マイクがサム(エマ・ストーン)に言ったセリフがとてもいい。しかも、あのセリフをいいセリフだと思うってことは、私もそういうことがわかる年齢になったってことなんだろう。若いってことはそれだけで素晴らしい。
2016/03/16:BD
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