イチロヲ

刺青のイチロヲのレビュー・感想・評価

刺青(1984年製作の映画)
3.0
ヤクザに拉致された女性歌手(伊藤咲子)が、背中に刺青を彫られたのをきっかけにして、情欲の世界へと落とされてしまう。元アイドル歌手の伊藤咲子が主演を務めている、日活ロマンポルノ。谷崎潤一郎の同名小説を原作に取っている。筆者は原作を読了済み。

本作の刺青師は「ヤクザが連れてきた綺麗なネーチャンだから」という理由で刺青を彫り、ヤクザの策略であっさりと退場。背中に彫られた刺青は女郎蜘蛛ではなく、仏教の天部の神様。谷崎特有の足フェチ要素も消されている。

オリジナル要素では、放蕩する財閥の娘(沢田和美)と、スキャンダルを追っているライター(木之元亮)を絡ませたドラマが登場。伊藤咲子のヌードは「見せるためのヌード」とは別種のリアルなエロスがある。

サキュバス化したヒロインの暴走状態がエモーショナルに描かれるが、如何せん刺青を彫られる前後の変身ぶりが淡白であり、妖力に引き寄せられる男性側の心理表現も薄いため、登場人物への肩入れが難しい。要するにエロ度が足りない。
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