いわゆる暴走特急モノのジャンル映画であるが、列車の旅がもたらす一期一会の魅力も描いていて単なるパニック映画に終始していない。危機的状況なのになぜか列車に乗りたくなる叙情性ある作品。
あらすじ:
父子を乗せた深夜列車が暴走。犯人は運転室に立て篭もり中。他に乗客が4人。さあどうする?
脱出ゲームのようにシンプルなシュチュエーション。前半は丁寧に人物描写。列車のようにゆっくりと、だが確実に加速していく違和感。
『オリエント急行殺人事件』にくらべたら登場人物が半分以下とこれまたシンプル。輩風のロシア系作業員、気難しい紳士、やけにフレンドリーなOL、ミステリアスな老女。この中に共犯がいそうな感じを匂わせる。
途中どう考えても緊張感のない場面に全員ツッコミを入れがちかとは思うが、それでも伝えたかったのは「見知らぬ乗客同士が出逢う場所」としての列車の魅力ではないだろうか。イギリスの夜行列車にはバーがあるんですかね。
映像も大変綺麗。夜の車窓に映っては消える幻想的な風景。ライトが反射してフレア状になるところも工夫したんだろう。単なるパニック映画にしなかったのはもしかして監督が鉄道好きだからなんじゃないかな?
しかし本作最大の恐怖は冒頭。
イギリスの列車はドアにロックが掛かっていない⁉︎
危な!