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きみはいい子のmichikoのレビュー・感想・評価

きみはいい子(2014年製作の映画)
4.0
どこにでもある新興住宅街を舞台に、児童虐待や育児放棄、いじめ、学級崩壊などの現代社会が抱える問題を、問題を抱えた大人と子どもの群像劇として描く。

原作小説は5篇のオムニバスであり、映画はそこから3篇に焦点を当て、交互に描いていく。元がオムニバスだからこそ、よくある群像劇の様にシナリオが交錯する事は無く、その分大団円という事もなくカタルシスは少ない。ただ、誰かに行った思いやりのある行為により、また別の思いやりを生み、そうしてこの世界が成り立っていくと考えると、映画の中で結論を出すのでは無く視聴した我々の周りでも思いやりで溢れ、どこかしらで交錯しているのかも知れない。あの終わり方も視聴者側に結末を託されている様に思われる。

中々しんどい内容だが、彼らと同様に僕自身も一歩前進していきたい、そう思わせる温かい作品。


他の方も書かれている様に、子供達の演技が半端ない。特に教室でのとあるシーンでは子供達がもう演技と思えない程の自然体であり、アドリブなどの何か特殊な撮影方法を取ったのだろうか。それ程、大人だけで無く子供達の本作への貢献度は大きい。

あと、これはかなり個人的な感想だが、特別支援学級と思われるシーンがあり、自分にとってはまだ知らない風景である為、こういうものなのか、と少しイメージができる様になり、勉強になった。
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