鋼鉄隊長

パシフィック・リム アップライジングの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

3.0
梅田ブルク7にて鑑賞。

【あらすじ】
怪獣との戦いに人類が勝利して10年。世界は徐々に復興していた。防衛軍では、次の襲撃に備えて無人ロボット(イェーガー)の導入が検討される。そんな中、謎の敵性イェーガーが出現した…。

 話が短い! これでは消化不良だ! ポスト怪獣戦争の情勢に、訓練兵の成長や過去のトラウマの克服。この内容をたったの1時間50分で描けるはずが無い。どうせ撮るなら2時間30分ぐらいにするべきだ。
 色々と描写不足なところはあるが、巨大ロボット「イェーガー」の描き方は頑張っていた。前作のイェーガーが「各国代表機」であるのに対し、今回は完全な「無国籍機」。機体にお国柄は反映されていないが、そのぶん武器でキャラ付けがなされている。中でも片手にトゲ鉄球を装備した「ブレーサー・フェニックス」は、旧世代機ということもあり重厚感がある。腹に付いた機銃から、でっかい薬莢をぶちまけて乱射する姿もカッコいい! それに対して残る第6世代機のイェーガーたちは皆スタイリッシュ。特に新田真剣佑の乗る「セイバー・アテナ」は洗練されている。コレは完全にイングラムではないか。いやグリフォンか? どっちにしろ『パトレイバー』だ。さらに、暴走した無人イェーガーは『エヴァンゲリオン』を彷彿とさせる。なるほど、スティーヴン監督はロボットオタクということか。各イェーガーに込められたロボットアニメ愛が感じられて素晴らしい。
 その一方で「KAIJU」の描き方は残念。今回の怪獣には個性が無い! せっかく三大怪獣が集結しているのだから、もっと変化のある戦いをするべきだ。三体揃って殴るか噛み付くしかしないのでは、アンギラスを三体連れてきたのと同じだ。いや、アンギラスだって『FINAL WARS』では必殺技「暴龍怪球烈弾」を披露している。怪獣ならば必殺技の一つや二つは欲しいところだ。せめて一体くらいは光線技が出せても良かったのではないか。誰が誰だか分からないほどにキャラが立っていなかった。その点では、前作に登場した怪獣たちは個性的であった。泳ぐ姿の可愛らしさから、ゆるキャラ化もした衝角怪獣「ナイフヘッド」。電磁パルスを発生させる「レザーバック」。極めつけは強酸性の毒を吐き、飛行形態へも変身出来る陸海空を制覇した最強大怪獣「オオタチ」。これらを見習ってスティーヴン監督には、ロボットにかけた情熱を怪獣にも分けてもらいたい。
 まだまだ怪獣には不満がある。何で彼らはランドマークを破壊しなかったんだ!? 「決戦の地はニッポン」と宣伝で散々言ってたのだから、東京タワーかスカイツリーはへし折って欲しかった。さらに言うと登場の仕方もなってない。海から怪獣がやって来たなら、上陸シーンは必須だろう。いきなり街中から映してどうする。それに逃げ惑う市民の数が少なすぎる。エキストラはもっと用意しろ! 自主制作映画かよ! さらにさらに、パンフレットも間違っている。「シュライクソーン」と「ライジン」の表記が逆ではないか! と言うか何で今回のラスボス、超巨大怪獣(予告編に出てくるデカいヤツ)が載って無いんだ! もっと言うとアイツの名前、「メガカイジュウ」って何だ? もっとちゃんとした名前を付けろ!!
 前半でのイェーガー同士のロボット対決はかなり興奮するものだったが、怪獣が出てからは微妙な展開に。次回作を作るなら、怪獣もしっかりと描いてもらいたい。
鋼鉄隊長

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