鋼鉄隊長

大怪獣のあとしまつの鋼鉄隊長のレビュー・感想・評価

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
1.0
怪獣は倒すだけが華では無い。その処理をどうするか。マニアであれば一度は考えたことだろう。多くの場合、怪獣の謎が解き明かされて退治されるので、神秘性を失った怪獣の死骸はもやは猪など害獣と同じ。だからこそ描かれる機会が少ない。
しかしながらこの映画は、大怪獣が「突然死んだ」ことで、神秘性を持たせながら怪獣の死骸処理を描く環境を作った。もしかしたら蘇る可能性もある。謎の病原菌や寄生虫がいるかもしれない。はたまた妊娠しているかも。処理は一筋縄ではいかないこと確実。怪獣「希望」は、死してなお人類の脅威となる大怪獣だ。

にも関わらず、なーんにも描かない。なぜ突然死んだのか。別個体や寄生生物は存在しないのか。死骸が野生動物に与える影響はないか。どうやって解体するのか。体液に毒性はないのか。焼却処分出来るのか。出せばキリがない疑問を、この映画は一つたりとも考えない。ただ臭いから片付けるだけ。未知の生物から出た体液は、生身で浴びてもシャワーで流せばok。カメムシ踏んだんじゃないんだぞ!

怪獣の死骸処理と聞けば、兵器でも歯が立たない強靭な皮膚に悪戦苦闘し、体内に潜む寄生生物と戦い、孵化寸前の卵を見つけてさぁ大変。それくらいのドラマはあって然るべき。蓋を開ければ、ただデカい生ゴミで戯れてるだけ。怪獣に対するロマンもへったくれも無い。よくもまぁこれで2時間近く尺が稼げると思ったものだ。腐った体内ガスの臭いが、ウ◯コとゲ◯どっちに似てるか議論する展開を、何が悲しくて観ていなければならないのか。

「こんなに金かけてアホな映画作ってみました。どうぞ笑ってください」と言いたげな、ボンクラ製作陣どものヘラヘラした態度が嫌と言うほど伝わってくる。怪獣はデタラメだ。だからこそ真剣に作らなければバカな作品になる。こんなのを大々的に宣伝して、本当に良いのか日本特撮は。
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