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レヴェナント:蘇えりし者のmahのレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.7
やっと観ました。
劇場で観なかったことを最も後悔した作品になりそう。
最後に日本語字幕が出なかったが実話とのことで更に驚いた。

バイソンの毛皮を求めるアメリカ人のガイドをするポーニー族のグラスとその息子ホーク。
グラスは道案内の途中、グリズリーに襲われ瀕死に。極寒の地に瀕死状態で置いて行かれた彼は復讐心のみを抱き、雪の中を進み続ける。


冒頭から圧巻の映像の中、息をのむほど壮大で緊迫した長回し。圧倒的な画力で心を掴まれたとともに、レオナルド・ディカプリオの演技にも脱帽。「ライアン・ゴズリングは目で演技をする」と以前に言った気がするが、ライアンが目で演技をするなら、レオは"呼吸で演技をする男"だ・・・。これでオスカー取れてなかったら嘘みたい。
映画を観ながら「あっ!」「わっ!」と声を出すことはまずないのだが、今回は恐怖と驚きで数回声が出た。それほど映像に迫力がある。

簡単な物語ではあるが、全てに力が入っていて一瞬も無駄な画がない。
力が入りすぎたのか、説明が雑だったりこちらに委ねすぎている箇所も多々見受けられたが、それを良しとしてしまうほどの力がある。


度々"神"という言葉が出てきたが、作品内で表現されている"神"とは、自然であり、また父でもあると終盤につれ強く感じる。グラスとホークという親子然り、フィッツジェラルドの話す父の話、また敵となるアリカラ族の父と娘。静かながらも力強い父性が描かれていた。
父性に委ねられたすべての運命と共に、神となる自然に殺されかけ、また生かされてもいる。死と隣り合わせではあるが、死への恐怖とは裏腹に美しく描かれた自然には、ぬくもりも厳しさも、同時に感じることができる。
敵でも味方でもなく、生も死も与える雄大な自然の中、必死に呼吸をし続けるグラスを誘うラストシーン。解釈を個人へと委ねるラストシーンには思わず唸った。



もう一回IMAXで上映してくれないかな~~。
mah

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