きんゐかうし卿

アンダー・ザ・スキン 種の捕食のきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

 

自宅にて鑑賞。英・米・スイスの合作。オープニングから何度となく登場する意味ありげな瞳のアップ。起伏の少ない単調な展開が延々と続く。全篇を通し、長回しと云う程では無いものの各ショットが長い上、科白が極端に少なく、カット割や編集のリズムが合わなければ最後迄辛い。殆ど説明を排除しているので、感じる映画で観客の読解力が試されるのであろうが、単調で不協和音を繰り返すBGMと云い、作為に満ちたミスリードを誘う描写が見え隠れする。傑作?──いえ、いえ、通ぶって褒める気にもなれませんし、退屈なだけでした。40/100点。

・本作を評する際、引き合いに出される二人の巨匠──S.キューブリックの神経に障る様な精緻さや、A.タルコフスキーの余韻を残す間延び感は感じられず、ピンッと来ない。ドチラかと云えば、森が出て来る為か風刺や毒の無いマイルドなL.v.トリアーみたいだと思った。更にグロテスクで孤独な異星人はN.ローグ監督、D.ボウイの『地球に落ちて来た男('76)』を髣髴した。

・開始十分以上科白やナレーションが全く無い。右ハンドル、左側通行と我が国と同じ交通スタイル。ライダースーツを着た男が霧中の谷を見下ろすシーンは、C.D.フリードリヒの『雲海の上の旅人(1818)』の構図とポーズを真似たらしい。

・街頭で変装させたS.ヨハンソンを置き、目立たぬ様に周囲にスタッフを配し、撮影したと云う。亦、A.ピアソンは、本作のオーデションに行く途中、タクシーによる交通事故に遭い、脚を骨折した。翌日、病室にJ.グレイザー監督が訪問し、出演が実現した。

・鑑賞日:2015年5月6日