音楽の国ドイツ🇩🇪が作ったガツンと来る衝撃の強い映画でした。
実在の女性ピアノ教師トラウデ・クリューガーが女子刑務所で教えている1枚の写真を監督が新聞記事で目にし、インスピレーションを受けてオリジナルのストーリーを脚本したそうです。
80歳のピアノ教師トラウデ(アレクサンドラ・コルデス)は殺人罪で服役中のジェニー・フォン・レーベン(ハンナー・ヘルツシュプルング)に出会います。
受刑者たちの福利厚生の一環としてピアノを弾いていたトラウデは、グランドピアノに反射して映る若い受刑者が演奏に合わせ指を動かしているのを目撃します。
トラウデはその指の動きに並々ならぬ才能を直感し、所長に「もしピアノコンクールで優勝者を出せば、女性刑務所におけるあなたの指導管理は上層部に強い印象を与えるにちがいない」とおだてあげ、ピアノレッスン指導のプログラムを組み入れさせます。
ジェニーは愛情が鬱屈し残酷な人生を背負って生きて来て、とても凶暴で刑務所内でもすぐに暴力を振るいます。自分に関わった者達や世の中に対しての憤り・悲しみ・憎悪等といった感情こそが彼女の演奏力の源だったと感じられます。
老いたトラウデもまた悲しい過去を背負っています。60年前の彼女の強烈な過去が映し出され理解出来ますが、それはレズビアンも絡む事実がありました。
しかしあの壮絶な過去があったからこそ、トラウデはジェニーにも対峙できたと理解させます。
クラシックだけに固執せず、ロックやジャズに留まらない、ジェニーの奏でるピアノの演奏が今まで見たことも聴いたこともない『強烈で揺さぶられる演奏』なのです。
最後、コンクールで演奏しスタンディングオベーションを受けますが、正式なお辞儀一つ出来なかったジェニーが、一瞬笑顔になりチャーミングなお辞儀をします。
その時、両脇から掴み上げる警察官から手錠を掛けられエンドロール...
Ps....ラストの衝撃的な4分間の演奏と主人公のピアノ指導をされたのはドイツで活躍する日本人ピアニストの白木加絵さんだそうです。なんて素晴らしい💫