みほみほ

クリムゾン・ピークのみほみほのレビュー・感想・評価

クリムゾン・ピーク(2015年製作の映画)
3.6
👻🌚2024年69本目👻🌚(吹替)

展開に一つも驚きがなくて分かりきっている最期。それなのにこの悲恋の行く末に、感傷を引きずられ切なくなってしまう。

大人のエッセンスを含みながら、ダークでゴシック。新鮮味も無ければ驚きもなく綺麗過ぎて嘘くさいのに、この世界観には妙に惹きつける力があり魅了されてしまう。

幽霊が見えるイーディスの特性を利用した描写がとても良かった。ホラーにも転がるし、未練に呪縛される幽霊の哀しさを表現したりと幅広く楽しめた。

真実をどう明かすかより、映画としてどんな世界観を作り上げるかを大切にしているイメージ…
ギレルモ・デル・トロが監督だと途中まで知らずに観ていたけど、恋の描き方が幻想的なことや、風情だったり、人間の汚い部分や幽霊の描き方に容赦ない部分など、監督の《らしさ》が出ていて監督を知った時に笑っちゃった。

自分が俳優だったなら、現実離れした幻想的かつゴシックなこの世界に佇む人間を演じてみたいと思うくらい綺麗。

イーディスのお母様、死してなお見守り続ける念が強烈なのに、何しろビジュアルが怖過ぎて娘に何ら伝わってないのが一番切ない。自分に好意を寄せている人があんなに素敵(家族はともかく)なのに、予期せぬ恋に没頭する皮肉。

そしてだ!!!ボビー・シンガーがあんな簡単に死ぬわきゃないんだよ…(でもとってもいい役どころで良きパパだったから、ボビーファンとしては不意打ちで出逢えたのがとても嬉しい)
グリム童話+ゴシックホラー+スパナチュみたいな要素のシーンあったから、キャスティングされたのも納得。ジム・ビーヴァーはスパナチュに限らず、映画でも多方面活躍されているけど、正直本作では彼の出演に驚いてから興味湧いたくらいだったので、鑑賞意欲高めてくれたボビーありがとう。ちくしょうめぇ!が聞きたかったけど、今回は気品と威厳に溢れるユーモラス富豪パパ役だったので、素敵な一面見れて幸せ。

本作はなんとなく再生を始めて、一度最後までざっと見してしまったんだけど、ボビー出てるしなんか世界観良いなぁ…ってことで改めてきちんと観返してみたら面白かった。

誰も報われない感じがダークだけど、ギレルモ・デル・トロらしいと言えば納得しちゃう。

殆どジム・ジーヴァーへの愛を書いて終わったけど、こんなに設定がくっきりしている新鮮味のない王道さなのに、ギレルモ・デル・トロの世界がそこに加わるだけで 世界観で惹きつけ余韻を残すのだから凄い。

最初の気持ちは3.5くらいかな…と盛り上がらない気がしてたけど、パパがあんな目にあった時はこのまま鮮明にボビーを!と驚いたし、凄惨さが際立つホラー描写、悲恋の行く末にたどり着く心境の広がりが奥深くて 3.7くらいに爆上がりしたので、間を取ったスコアにしました。

トム・ヒドルストンのお尻が美しすぎたんだけど、あれ加工なしなら凄い。ファンが多い方ではあると思うんだけど、自分はあまりハマってないジャンルの方でしたが この役柄はかなりしっくり来て、心に秘めた哀しみが似合う佇まいが良かった。どことなく「ほの蒼き瞳」のハリー・メリングと重なる哀しみを含んでいて、声優のトーンも似ていて印象的でした。
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