こたつむり

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイションのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.4
★ 凡庸…それはスパイへの最上の誉め言葉

最上段からの物言いになりますが「悪くない」のです。最初から最後まで飽きずに鑑賞できるのは娯楽作品として合格だと思いますし、マンネリを打破しようとする姿勢が伺えるのも好感触です。

しかし、率直に言って「物足りない」のも事実。精緻に作られたジオラマから“生活感”を感じることが出来ない…そんな人工物の手触りに近いのです。

要は“説得力”が足りないのでしょう。
イーサン・ハントが困難に立ち向かう理由。
ベンジーと彼の間にある絆の正体。
そして、ルーサーの影がどんどん薄くなるのは何故なのか。そこに納得できる“意義付け”が欲しいのです。

勿論、それをダラダラと表現するのは不要。
些細な場面の積み重ねで良いのです。
彼らが“存在している”と思わせる配慮があれば、十分に物語は厚くなるのですから。

だから、本作のキモである“不可能への挑戦”も、何故にその場所に“アレ”が保管されているのか。それを守るための対策に必然性はあるのか。それらの“意義付け”が沁み込んでこないから、前のめりになれないのです。

ちなみに本作を仕上げたのはクリストファー監督。『ウルヴァリン:SAMURAI』や『ワルキューレ』の脚本を手掛けた…なんて経歴を眺めてみれば、どこか“物足りなさ”を感じるのも納得ですね。

まあ、そんなわけで。
厳しく評価されてしまうのは続編の宿命。
本シリーズの礎となった第一作を超えるのは無理だとしても、前作や前々作にも届いていないため、相対的に低い評価となってしまいました。

ただ、それでも娯楽映画としては及第点。
サクッと鑑賞できて後を引かない…その部分はクリアしていますよ。また、本作のヒロインだったレベッカ・ファーガソンの凛とした美しさは見事なり。それだけでも鑑賞する価値はあると思います。

To be continued… →→→ 
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
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