鹿伏

キャロルの鹿伏のレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.6

メリーバッドエンド!だと思うんだけど!
テレーズは彼氏よりキャロルを選んで、一緒に西へ旅立つ道中「リチャードのことを後悔してる?」って聞かれて、「そんなわけない、言われるまで忘れてたわ」って答える。キャロルへの熱をあがる最中でリチャードから「女学生かよ」って言われてるけど、まさにそれなんだ。後先を考えるんじゃなくて、欲望がそのまま。圧倒的に破滅的。テレーズにしてみたらほんとうに夢中なってる人といるんだからそこでリチャードがでてくる気持ちなんてこれっぽっちもなくて、でもキャロルはどうしてもテレーズじゃなきゃダメだったとはあんまり思えない。「好きな人との逃避行!」ってのと「いやなことを忘れるため」って温度差が如実に出ていてつらい。しかも身体の関係があった相手に電話で相談さえしてるし。でもそのあとすぐにテレーズを自分のベッドに呼ぶし

性でしか相手と対話できないみたいじゃなさそうだし、キャロルは恋に溺れる「女学生」のような年齢ではないし、旦那や子どもや世間の目と、女としての恋心/欲望の葛藤がいまいちわからないせいで、ただ気まぐれなだけに見えちゃって…でも私が報われない恋愛が好きだから……テレーズ…!

いやいやしかしまあ「あなたは若いから解決や説明を求めるでしょ。でも、いつかわかる時がくる」ってフラれるときにいちばん聞きたくない言葉でしょ。だから吹っ切ろうとしてキャロルからの誘いをいったん断るけど、リチャードはもう自分のことなんて忘れたみたいに他の女の人といるし、どうしようもなくてまたキャロルのとこに帰っていくんだなあ。最後のキャロルの笑顔がすごい

『アデル、ブルーは熱い色』でも思ったけど、もううまくいかなくなってしまったふたりが、また面と向かってしゃべるときに流れる気まずさだとか空気が、しんどいんだけどたまらなく好き。
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