このレビューはネタバレを含みます
イントロでまさかとは思ったけど、「威風堂々」に合わせて花火の演出でもって敵を一掃するとはね。お見事。もうね、ここだけで本当にこの作品は素晴らしかったと言えます。いや、ハックできるなら最初からしろよ、とかは口が裂けても言えなくなっちゃう圧巻のシーンだった。
アバンタイトルから、爆破の残骸で文字を作る感じとか、まあ洒落てる感は最初からあったし、そこにテンポも加わって心地よくストーリーテリングしてくれた。形式としてまさにキックアスだな、と思ってたら、監督が同一人物だったのね、納得。
で、コリン・ファースが本当にかっこいいね。「紳士」という言葉を体現したようなシルエットで、圧倒的な存在感を誇っていて、もうこれはボンド級に、またボンドとは違ったベクトルでカッコよかった。
アクションは結構グロテスクなんだけど、スピード感があるからそこまでグロくも見えないんだよね。この辺のバランス感覚も良いと思った。
ガジェットもいいね。傘もかっこいいし、ジッポーの手榴弾とか欲しい。なにより、靴先のナイフね。出し方がクールで良い。いつ使うのかと思ってたら、ね。
まあただ、あれだけマナーだとかを重んじるのに、育成の段階で課されるミッションみたいなものが、その辺と一切関係ないところを鍛えるためのもののような気がして、そこには違和感を抱かざるを得ないね。
あとはマティーニのくだりは好きだね。素敵なオマージュ。これいつか、本当に言いたい。「ビールを飲み干すまで待て」とかも言いたくなるね。
マイケル・ケインの悪役はあまり好きじゃないんだけど、まあまあそれも意外性あってよかったか。
サミュエル・L・ジャクソンもやっぱ良い。この人、本当にクセのある悪役とか十八番だよな。伝統芸を見ているような安心感があった。
うーん、訓練のところ以外は文句ない作品だったかな。コリン・ファースもう少し見たかったけど。まあ、それもまた一興。