このレビューはネタバレを含みます
君の名は以来の新海誠作品ということで、個人的にはハマれるかなあと不安だったけど、本作の方がマシかな！よくもまあ、天気を映画にしたよなあ。
新海誠作品は絵がすごいとよく言われるけど、特に空を描かせたらすごいなあと思った。雨と晴れの使い分け、雲から覗く太陽、えぐかったな。
そして声優陣がいいね。本田翼と小栗旬がすげー。俳優でもここまで顔を消してキャラになりきれるのか。すげーな。コナンのゲスト声優とは訳が違った。
テンポも良さげ。変なコメディ要素は若干多すぎな感もあるけど、そんなに冗長になってなかったし、バランスはとれている。
何よりラストの思い切りの良さよ。この終わり方のために、全てが作られたようなエンディング。この主人公の意思決定は良かったと思う。
ただ気になるのは、意思決定した後の結果を受け入れてしまう人々の様子だよね。雨が続いて東京が沈んでも、みんなそれなりに楽しそうだし、おばあちゃんなんかは、昔は江戸は海だったなんて言い出す。そりゃ、なにも知らないし、なぜか雨が止まないだけなんだから、当然ちゃ当然の思考回路なんだけどね。それでも大変な思いをしている人がたくさんいるはずなんだよなー。
小栗旬役のキャラの言う通り、世界を変えてもみんな結局受け入れる、というのが本作のメッセージだと受けたけど、そうするとあの意思決定の重みがどこかに行ってしまうという難しさ。リアルに描かれた我が町東京が、１人の男子の初恋が故に沈んで、それをみんなが受け入れるってのはなあ。一部始終を見ているこっちは納得いかないよね。
その結果、最後の、「僕たちは大丈夫」というセリフが軽くなっちゃってるよね。何に対して大丈夫なのかがわからない。ゴール前でコケている感じ。そりゃ、許してくれる人ばっかりなら、大丈夫もクソもないだろっていうね。
まあ絵すごいし、音楽良いし（音楽は前作の方がはるかに好み）ですごい作品だけど、やっぱりこの人の作品のストーリーを好きになるのは難しいなあ。
