とむ

過ぐる日のやまねこのとむのネタバレレビュー・内容・結末

過ぐる日のやまねこ(2014年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

終始不自然な映画でした。
なんか重めのテーマを与えようとしておきながら、なんもない映画。
完全に嫌いなタイプの作品。


まず冒頭、主演の女が兎角クサってんな〜としか思わなかった。
客のこと睨みつけて、その結果突き飛ばされて、割れたグラスで手切ったら被害者ヅラって、なんだそりゃ。
周りと上手くいかないキャラクターを描くにしても描写が雑すぎてなんとも…。

その後「明らかに」乗客名簿を持った添乗員が夜行バスに乗る流れも不自然だし。
あの、夜行バスって予約制ですからね…。
当日買うにしても、一番取り合ってくれるバス会社で出発の20分前購入厳守とかだからね。
監督は夜行バス乗ったことないのかな…。


それ以外のシークエンスも、常に描写が冗長か端折り過ぎかのどっちかなんだよなぁ。
無意味な長回しも多すぎ。普通に退屈。
「ここ、長くない?」みたいなカットの連なりだから、観てる方もだんだん嫌になってくる。
この監督の手法と長回しとの親和性が非常に悪い。

余計な部分は不必要なレベルで描く癖に、変なとこ飛ばしてっちゃう。
登場人物もその都度違うリアクションだから、全然キャラクター掴めないし。
陽平のこと気にかけてる幼馴染?女のクソむかつく偽善者感とか。
すみません監督。
あれ、正常な女の子だと思って描いてますか??

父親がタバコどうしたんだこれ的なやり取りも「え、なにこの親父認知症なんだっけ?」って混乱したし…。
女に捕まれて遺骨ばら撒くシーンなんか「え、この女バカなんじゃないの?」としか思わなかった。


会話もいっちいちへったくそ。
前述したガールズバーのシーンしかり。
時子と陽平との最初のやり取りしかり。

一番ひどいのは飲み屋で田中要次含むおっさんおばさん三人の井戸端会議。
「形式的な会話」や「説明台詞」ばかり描かれるから観ていての楽しさは一切ない。
その他のシーンも何から何まで会話が気になって気になってしょうがない。


いや正直ね?
そういう台詞回しとか、細かい辻褄合わせなんてどうでもいい類の映画なんて腐るほどありますよ。そういう名作もいっぱいあります。
でもこういう、「セイフ ヘイヴン」や、「わたしに会うまでの1600キロ」のような、傷心の人間を描くタイプのヒューマンドラマって、そういう細部が一番大切なんじゃないんですか?

この不器用で世間に馴染めない女性がどんなやり取りをして夜行バスに乗ったのか?とか、どういう会話で相手に心を開いていくのか、とかさ。
そういうところが一番、描かれるべきなんじゃないんですかね?


内容はともかく、細かい描写とかストーリーテリングがとにかく嫌いなタイプの作品でした。
「忘れることを怖がっちゃだめだ」っていう台詞も、この監督そんなこと本当には思ってないと思うんですよね。

そういう、薄〜〜〜い考えの癖に、
カッコつけてテーマとして濃く見せようとしてる監督の様が、僕はとても嫌いです。


DVD叩き割りたい衝動を死ぬ気で抑えて、TSUTAYAに返却しに行きました。
とむ

とむ