まーしー

ダーティ・グランパのまーしーのレビュー・感想・評価

ダーティ・グランパ(2016年製作の映画)
3.0
1週間後に結婚を控えたお堅い弁護士ジェイソン(ザック・エフロン)が、伴侶を亡くしたばかりの祖父ディック(ロバート・デ・ニーロ)に誘われ、フロリダへドライブ旅行に出かける。しかし、二人は旅行中にお酒と女に溺れて……という、品のない下ネタと笑いに満ちたロードムービー。

一言でいえば、ズルい作品。
マフィアや犯罪者などの役を演じてきたデ・ニーロが、下ネタを連発する姿はシュールそのもの。
その内容は決して褒められたものではない。冒頭の自慰行為や連発される放送禁止用語は、観る人によって不快感が伴うものかも知れない。
そもそも、男根の隠語を示す「ディック」という役名からして品がない。
しかし、内容は下品でも、デ・ニーロの過去の配役とのギャップで笑ってしまう。ズルい。
観客の先入観を逆手に取った見事なキャスティング。

一方で、ザック・エフロン演じる弁護士ジェイソンが、一皮むけていく様子は観ていて心地よい。
周囲の顔色をうかがいながらの型にハマった生活からの脱却。エリートが自暴自棄になっていく過程は、決して堕落ではなく、人間としての成長を感じられた。

途中からおおよその結末は予想できるし、脚本そのものに捻りはない。例えば、ジェイソンが砂浜で目が覚めて慌てふためく姿は、『ハングオーバー』シリーズとも重なる。
しかし、下品なおバカコメディではあるものの、旅行の真の目的も描かれており、人情味あふれる内容となっている。
鑑賞後に爽やかな風が吹くような、不思議な感覚を味わえる作品だった。

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文鳥様さんにお誘いいただいて「みんかい?」に初参加しました。お声がけありがとうございました。