茶一郎

デッドプールの茶一郎のレビュー・感想・評価

デッドプール(2016年製作の映画)
4.0
『 お口チャックマン 』

 世界はデッド・プールの愛に包まれる。アメコミヒーロー至上、唯一、自分が映画の中の存在であると知るアメコミヒーローの誕生。

今作が現在進行形でエポックメイキングたる所以は、R指定作品として史上最高の興行収入を達成。『R指定』でも儲けられるということを証明し、ウルヴァリンシリーズの3作目がR指定になる、なんて話まで浮かび上がった。実際に世界は、デップーの愛に包まれる。

 108分を全く感じさせないスカッとした喉越しのラブ・ヒーロームービー。ヒーロー誕生譚として、また、新たな第四の壁ギャグコメディとして、とても魅力的なキャラクターが仕上がった。
  
 *エンディング最後までご覧ください。
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 冒頭から止まらないデッド・プール本人の語り口。
このスマートな導入は『真の英雄』とクレジットされる「ゾンビランド」の脚本家コンビ。「グリーン・ランタン」以後、緑のコスチュームに呪われたライアン・レイノルズは、主役兼プロデューサーとして10年も温まった企画を成功に導く。まさにアメコミファン、魂の映画化。
今作には、オープニングからエンディングまで全編に『愛』が詰まっていた。

 『悪役はスリーポイント・ランディングでやってくる』
 全編、スピーディかつタイトでウェットにならない、『スカッと爽やか』とはまさにこのこと。劇場こそはウケていなかったが、映画ギャグのつるべ打ち、不死身であることを良いことに、自分の体をいたわらないアクションが止まらない。

 主人公は言ってみれば、チョー個人的な動機で動くとてもヒーローとは言えない存在だ。実際、ヒーローではない自覚がある。
 
 ヒーローは何の能力を持っていない時こそ、その真価:ヒーロー性が問われると思う。振り返ると、まだ彼が不死身の力を持つ前、彼は人助けをしていた。助けられた人は
 『ヒーローね』
と言う。彼は、不死身の力、無敵のパワー、超人的な能力、そんなものを持つ前から、(少々うるさいが)間違いなくヒーローだったのだ。
茶一郎

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